JR川越線の単線区間に当たる日進駅以西や、国土交通省による荒川第二・三調節池整備に伴い架け替えが決まった川越線の荒川横断部(荒川橋梁)に対し、さいたま市は将来的な複線化整備を鉄道事業者に粘り強く求める。荒川橋梁は概略設計上、現行の単線のまま架け替える方向。一方、地元市議などは単線区間で起きた鉄道車両の対面接近という運行事故を受け、全体的な複線化の必要性を強く説く。
川越線の単線区間に含まれる指扇駅(さいたま市)~南古谷駅(川越市)間で運行事故があったのは3月2日。さいたま市がJR東日本に確認したところ「強風の影響で列車に遅れが生じ、行き違い箇所を南古谷駅から指扇駅に変更したところ、その間で上り線と下り線がお見合い状態となった」という。
ただ「列車の停止位置は、安全を確保する装置が正しく作動したため、それぞれ安全な位置に停止した」としている。
開会中のさいたま市議会一般質問で、稲川智美市議(さいたま自民)は「複線化は絶対条件ではないか」と事故を受けた見解を伝えた。
JR側は従来から「将来、利用人員が増えた時には複線化の可能性はある」との回答にとどめている。
国の調整池整備を機に架け替えが先行することになった荒川橋梁についても市は「単線で架け替えることが、将来の複線化を閉ざすものではないと認識している」と答弁。市として、川越線の複線化につながる鉄道利用者の増加へ「沿線の土地区画整理事業、新たな産業集積拠点の整備に向けた検討などを推進する」とした。
「安全装置が誤作動し、重大な事故が起こる可能性は放置できないのでは」と稲川市議は念を押した。
市は「参画している川越線整備促進協議会、鉄道整備要望の場で今後も日進駅以西の早期複線化を粘り強く要望する」と重ねて強調した。
架け替え後の荒川橋梁は、上下部工がPRC下路桁、鋼下路単純トラス桁、RC高架橋、RC橋台、RC橋脚で構成する見通し。基礎はくい、ケーソン。事業延長は、荒川両岸の堤防間が約2㎞あることから、同距離程度が範囲となる。詳細設計を24年度まで行う予定。