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栃木県砂防課

県砂防水資源課、松田川ダム ゲート、ダムコン、通信設備改善、2警報局24年度着工へ

2023/12/15 栃木建設新聞

 県砂防水資源課は、松田川ダム(足利市)に2カ所の警報局を新設する。ダム下流の浸水エリア住民へサイレンによる放流の周知拡大が目的で、2024年度にも工事に着手する見通し。松田川ダムは長寿命化対策に基づき無線、ダムコン、ゲート設備の更新や修繕を計画。通信設備では鉄塔の改善を検討しており、今年度末を目途に更新か修繕を判断する。

 警報局はダム管理所と中流に松田中継水位警報局、下流の渡良瀬川合流部付近には葉鹿水位警報局の3カ所で運用してきた。

 近年の異常気象による豪雨の頻発化で、松田川ダムの能力を超える洪水発生を懸念。新たに4カ所を新設し、このうち2カ所の工事と既設3カ所の設備更新は完了している。

 新設する警報局は、松田中継水位警報局から下流に工事が完了した新設局まで約4㎞間に2カ所計画。新設箇所は上流側が観音橋付近、同橋から約1・5㎞下流の坂西北小学校付近。

 警報局は建屋にサイレンを内包するタイプか、電柱添架タイプなど設置箇所の敷地形状やスペース、サイレン音の周知範囲など周辺環境を考慮し決める。放流警報設備の詳細設計は日本工営が担当した。

 鉄塔は松田川ダム管理所に設置。施設の老朽化などを踏まえ更新か、修繕を判断。24年度以降の工事に備えていく。調査検討業務を建設技術研究所が担当している。

 鉄塔のほか通信設備は、多重無線設備、テレメータ回線、ダム諸量データ伝送回線、ITV画像データ伝送回線、専用連絡回線、松田川ダム管理通信回線の改善を計画。

 ダムコンは15~16年度に更新。プリンタ装置の修理や無停電電源装置・蓄電池・時計装置など劣化箇所の部品を交換する。

 ゲート設備は表面取水・表面取水保安・表面取水制水各ゲートの機側操作盤更新工事に着手。24年度以降には取水各ゲートのサイドローラの分解整備、利水各ゲートはバルブコントロールを分解整備する。再整備後は各ゲートの塗装塗り替えを計画した。

 このほか管理所のエレベーター1基を更新。観測設備では、ダム堤体のひずみを計測するプラムラインを更新する。

 松田川ダムは1996年4月に竣工。堤高56m、堤頂長228m、堤体積16万6400立方mの重力式コンクリートダム。総貯水容量が190万立方m。

 放流設備は常用洪水吐がオリフィスによる自然調節高さ0・7m×幅0・6m×1条。非常用洪水吐はダム設計洪水流量毎秒175立方m。クレスト自由越流は越流水深1・5m×越流幅13m×4門。

 利水放流設備はジェットフローゲートφ250、水位低下放流設備がジェットフローゲートφ700。取水設備のゲート形式は直線多重式鋼製ローラーゲート1門(3段扉)。

 ダム地点の計画高水流量は毎秒57立方m。計画放流量毎秒2立方m(最大4立方m)。調節流量が毎秒55立方mで洪水調節容量は70万立方m。

 県営ダムの長寿命化対策は50年計画。5年ごとに計画を見直し、松田川ダムは直近で21年度に策定した。20年以上が経過した取水設備機側操作盤更新工事などゲート、通信設備を主体に22年度から5カ年計画で進めている。

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