国土交通省は2024年4月から時間外労働規制が建設業に適用されることを踏まえ、現場技術者を中心とした受注者を対象に、工事関係書類の業務削減に向けた5つの支援メニューをパッケージで実施する。直轄工事では始まっているものも含め▽工事書類スリム化のポイントの横展開▽検査書類限定型工事の原則実施▽ウィークリースタンスの徹底▽適正な費用計上―と、自治体と連携した工事関係書類の標準様式統一化を掲げた。
現場技術者は昼間に現場、夜は書類作成を行い、時間外労働が多くなる。書類作成の時間が減れば残業時間が減る。発注者の理解、円滑に工事が進められる体制がしっかりしていれば、対応できる5つの施策を展開する。
【工事書類スリム化】
工事関係書類の簡素化、電子化に関しては各地方整備局で土木工事書類作成マニュアルなどを運用している。さらに、2024問題に対応すべくスリム化ガイドなどを策定し書類の簡素化、書類作成の役割分担の明確化などを図る。関東は策定済み。近畿が月内策定、他は年度内に策定する。
スリム化のポイントは▽工事書類の原則電子化(ASP活用)▽受発注者間での作成資料の役割分担明確化▽作成・添付不要な書類の明確化▽二重作成・提出防止▽検査書類限定型工事の活用▽遠隔臨場を活用し、段階確認、材料確認、立ち会いの効率化―の6点を挙げている。
【検査書類限定型工事】
工事検査書類44種類を10種類に限定するもの。18年度の試行スタート以来、適用拡大が進み22年度には全体の83%で活用されている。17%は活用しなかったが、受注者側からの協議希望がなかった、特記仕様書に記載がなく制度の認識不足だったなど。基本的に、受発注者協議の上で実施、予定価格が大きいものは受注者からの希望とされているが、24年度から全面実施に移行する。要領を改訂する。
【ウィークリースタンス】
これまで限定的だったが、全ての工事・業務を対象に実施。業務時間外に作業しなければならない期限を設定しない。打ち合わせのWEB会議活用、業務時間外に連絡しない(ASP、メール含む)といった取り組み。
【適正な費用計上】
書類関係業務の外注経費について、本年度の諸経費動向調査で確認し、積算の適正化を推進。
【工事関係書類の標準化】
九州沖縄ブロックは国、県、政令市が参加する土木部長等会議で、工事書類の様式統一化に向けて共通目標を定めて連携。同ブロックは6自治体で統一化率100%を達成している。