国土交通省は制度開始から10年を迎える立地適正化制度に関して、実効性の向上に向けた議論を開始した。現状整理から6つの論点を導き出し、15日に開催した検討会に呈示、論点ごとに議論を進め、2024年6月にも全体をとりまとめ、方向性を示す考え。
立地適正化計画について23年度末時点で675都市が具体的な取り組みを行っており、うち504都市が計画を作成・公表、171都市が作成中となる。国が掲げる目標が25年3月時点で600都市のため、順調に推移している。
コンパクト・プラス・ネットワークを実効的なものとする上で、立地適正化計画制度に求められる取り組みを探る。視点は▽より多くの都市で施策展開する裾野の拡大▽計画の高質化を促進するための実効的なPDCAの推進―の2つ。
示された論点は①計画作成の訴求対象となる都市②取り組みを促進するために必要な支援・改善③計画の効果を適切に評価する指標④評価の判断基準⑤評価に必要なデータの整理⑥的確な見直しに必要な取り組み―。
論点ごとの検討事項について、計画作成の訴求対象となる都市では、都市計画区域を持つ約1370都市のうち、施策効果が見込める都市、人口動態や財政状況などから作成へ訴求すべき都市などが対象となる。
支援や改善については、作成するインセンティブとなる効果的な支援のあり方や、作成困難な都市への都道府県の関与のあり方など。
評価指標は、直接的な施策効果となる居住誘導状況などをどのように評価するか。また、多面的な都市構造を評価するための方法など。
評価の判断基準は、適切な判断方法のほか、考慮すべき特殊事情は何があるか。
データの整備については、評価に必要なデータに何があるか、取得する効率的方法など。
見直しに必要な取り組みでは、評価に応じた見直しに市町村が的確に着手できる情報提供、計画作成プロセスの整理などのほか、市町村による適切なPDCAを促進し、コンパクトなまちづくりや立地適正化計画の高質化を促進するインセンティブなどを検討する。
なお、検討会は2024年に入り1月、3月、5月に開催され、論点ごとに議論を進める。