国土交通省は、47都道府県と20政令指定都市を対象に、工事書類の簡素化・適正化および標準化の取り組み状況を調査した。簡素化・適正化に取り組む団体の6割が受発注者の書類作成・検査の負担軽減につながったとの成果を挙げている。標準化については、部局等の独自様式などがネックになる例も挙がっている。
簡素化・適正化については、63団体が取り組んでおり、そのうち45団体は要領・マニュアルを作成している。
取り組んでいる63団体のうち、41団体が負担軽減の成果を示している。工夫している点として▽マニュアル、ガイドラインの策定による認識共有(19団体)▽ASPや電子化の推進・拡大(7団体)▽受発注者によるWG、意見交換を通じた情報共有(5団体)▽少額工事から試行―などが挙げられる。
取り組みを実施しているが要領などを作成していない18団体のうち、6団体が作成中・検討中とした。ほか、仕様書等において明示や工事関係書類一覧や作成例がすでにある(10団体)、必要性を強く感じない(4団体)となった。
標準化については、50団体が実施、17団体が未実施となっている。50団体に聞くと▽九州・沖縄ブロックにおいて標準化を進めている▽様式の不備等による修正作業の負担が低減▽法令改正が生じた場合に国に追随することで速やかな対応が可能▽一部の工事書類について様式のみを統一し、その処理方法や実施に必要な細目を個別に定めることで導入の負担軽減―などの工夫や成果などが挙げられた。
一方、未実施17団体のうち4団体は標準化へ検討中。このほか実施していない理由は▽部局等の独自様式や規定があり実施できない(6団体)▽要望がない、必要性を強く感じない(4団体)▽メリットを受ける業者が限定され、大多数の業者や市町村の混乱を招く恐れがある(2団体)―を挙げている。
国交省様式を可とする取り組みは36団体が実施、13団体が未実施。未実施団体に不可とする理由を問うと▽部局等の独自様式や規定があり実施できない(9団体)▽要望がない、効率化の程度が不明等、必要性が薄い(2団体)▽発注者の負担増の観点から、県の様式を使用▽監督方法が異なるため、国の様式を使用することが困難―などの声があった。
工事書類関係の作成には、多くの時間が必要とされ、長時間労働の要因の一つともされている。受発注者双方にメリットがある取り組みでもあり、簡素化・適正化・標準化の広がりに期待したい。