農林水産省は農道の設計規準改定を行う。前回の改定から18年を経過しており▽スマート農業等農業農村の情勢変化・新技術▽災害被害防止▽機能保全技術―を視点としたもので、年度内に改定する予定としている。
スマート農業等の関係は、農業機械の大型化や集中豪雨の頻発化等に対応するため、小規模農道橋の適用範囲を見直す。設計自動車荷重をこれまでの137kN(T-14)以下から196kN(T-20)以下へ変更。橋梁に関しても単径間、単純支間長24m以下および橋台高6m程度以下とする。ほかに、スマート農業や農業機械の大型化に関する内容や情報化施工技術に関する内容の追記を行う。
災害被害防止に関しては、降雨強度と洪水到達時間の算定方法等について、「道路土工要綱(09年度版)」に準拠したものに変更。耐震関係の記載の追記。法面設計について、道路土工の「のり面工・斜面安定工指針」が「盛土工指針」と「切土・斜面安定工指針」に再編されたことに伴い、整合を図るために再編する。
機能保全技術については、基準の運用「19・2保全管理」と技術書「第14章保全管理」を新たに設ける。基本的な考え方や点検計画の例示を記載し、災害対応の留意点、地域特性や状況の変化、老朽化の進行等を保全管理や設計にフィードバックすることを盛り込む。また、ライフサイクルコスト等を考慮した設計を行うことも追記する。
ライフサイクルコストについては、設計に当たって「経済性の検討の際は、ライフサイクルコストを考慮することを原則とする」旨を追記。アスファルト舗装やコンクリート舗装の舗装工種の検討で、ライフサイクルコストを考慮する旨を盛り込む。さらに、「設計諸元、図面、設計・施工上の技術的課題および留意事項等の一連の情報を分かりやすく記録・整理して、施設管理者等へ確実に引き継ぐことが重要である」旨を位置付ける。
このほか、関係法令や規準などの内容反映がある。環境との調和や景観に配慮、宅地造成および特定盛土等規制法関係、性能設計の基本的な考え方、舗装の性能指標の見直し、道路施工に関する記載の追記などを盛り込む。
改定に向けて28日まで、意見募集を行っている。その後、年明け2月の技術小委員会を経て、農業農村振興整備部会に報告。審議結果を踏まえて年度内に改定する流れ。