国土交通省は、安全衛生経費を内訳として明示するための標準見積書について、日本型枠工事業協会と左日本左官業組合連合会による型枠と左官を先行工種として積算方法の検討から見積書案を固めた。年度末までに最終的にまとめるとともに、他業種への普及・拡大を図るため策定手順書案をつくる考え。
型枠と左官の標準見積書案は25日に開催したワーキンググループで説明した。
日本型枠工事業協会の安全衛生経費の積算方法は、①個々の現場での安全衛生経費を積算し、現場で直接工事費に対する割合を算出②年間の店社安全衛生経費を集計し、会社の年間完成工事原価に対する割合を算出③当該現場の安全衛生経費率を①+②で算出④当該現場の直接工事費に安全衛生経費率を乗じて安全衛生経費を算出⑤安全衛生経費を型枠施工面積で割り算して単価を算出する。
ポイントとなるのは、現場と店社の安全衛生経費の線引き。ヘルメットや安全帯など防護具の購入、職長活動など現場特有の安全衛生経費は現場の安全衛生経費に位置付けた。店社でみるのは、労災保険料、健康診断費用、安全衛生協力会の会費、安全退化開催費など。
日本左官業組合連合会の積算方法は①個別現場の条件等により必要な安全衛生経費を積算②全現場で必要となる安全衛生経費を積算(労務者にかかる安全衛生対策)し、労務者1人の1年間の安全衛生経費を算出し年収で割った数値を安全衛生経費率とし当該工事の労務費を経費率を掛ける③当該工事の安全衛生経費は①+②。なお、連合会側が安全衛生経費率は定め9・6とされる。
仮囲いや屋根高所作業用手すりなどは施工内容、現場条件などで必要となるもので、個別現場の経費となる。全現場で必要なのは保護具などや、雇い入れ時教育などの安全衛生講習や技能講習などの費用が対象となる。
先行2工種の作成段階だが、現場と店社、現場と労務者、率を団体側が決めておくなど積算方法が異なる手法が出てきた。今後、国交省として手順書を作る事になるが、業種間での状況、考え方の違いもあることから柔軟に対応できるようなものとなるように期待したい。