県土木部は27日、土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律(土砂災害防止法)に基づく「土砂災害警戒区域」と「同特別警戒区域」について、上野原市大野および犬目の26箇所を県内で初めて指定した。同部では引き続き、県内の土砂災害危険箇所4805箇所を対象に区域指定作業を進めていく。同部では、できるだけ早期の全区域指定を目指していくが、対象箇所が多いため指定の前提となる基礎調査は10数パーセントにとどまっており、今後、同調査のピッチを早めていく考えだ。
同法は、土砂災害(崖崩れ、土石流、地滑り)から住民の生命を守るために、土砂災害が発生するおそれがある区域を明らかにし、警戒避難体制の整備や一定の行為の制限を行うもので、平成13年4月に施行された。
都道府県が、土砂災害により被害を受けるおそれのある場所の地形や地質、土地の利用状況などの基礎調査を実施し、市町村長の意見を聞いた上で、土砂災害警戒区域および土砂災害特別警戒区域を指定する。
土砂災害警戒区域は、土砂災害のおそれのある区域で、市町村長は警戒避難体制を整備し、地域防災計画に記載する。
また、土砂災害特別警戒区域は、建築物に損壊が生じ、住民に著しい危害が生じるおそれがある区域で、(1)宅地分譲、災害時要支援者施設の建築のための開発行為の許可制(2)居室を有する建築物の構造規制および建築確認(3)著しい損壊が生じるおそれのある建築物の移転勧告などができる。
初回の指定は、上野原市の急傾斜地の崩落(警戒区域13箇所、うち特別警戒区域13箇所)、上野原市の土石流(警戒区域13箇所、うち特別警戒区域10箇所)の内訳。
このうち、具体的な急傾斜地の崩壊は特別警戒区域と合わせて、大沢、大田、日留野-1、日留野-2、矢坪-1、矢坪-2、新田2、東大野2、西大野2、東大野2の2、高橋、談合坂2、大野の両区域13箇所。
また、土石流箇所は、大沢-1(特別警戒区域を含む)、大沢-2(同)、大沢-3(同)、谷後沢-1、谷後沢-2(特別警戒区域を含む)、谷後沢-3(同)、南米沢-1(同)、南米沢-2(同)、土橋沢、西大野沢-1(特別警戒区域を含む)、西大野沢-2、東大野沢(特別警戒区域を含む)、日向沢(同)の13箇所で、うち特別警戒区域10箇所。
同部では、平成13年4月1日の法施行後、平成13年度から今年度にかけて土砂災害警戒区域等指定のための砂防基盤図の作成を進めるとともに、平成15年度から砂防基盤図を利用した区域設定のための基礎調査に入り、昨年3月には「山梨県土砂災害防止法指定方針検討委員会」より調査の優先順位、指定方針についての答申を得ていた。
全国的には、広島県が平成15年3月31日に指定したのを始めとして、現在23府県が指定しており、今年度中に44都道府県が指定する予定となっている。