県安足土木事務所は、佐野市の1級河川菊沢川下流3300mの改修に伴い年度末までに下流側2500mの路線測量と堤外地の用地調査を発注。構造物では市道橋植野44号橋と国道50号橋を架け替え。50号橋は予備設計を開発虎ノ門コンサルタント、ボーリング調査を第一測工に委託。国土交通省宇都宮国道事務所と調整し諸元を固める。
菊沢川の改修区間は1級河川渡良瀬川の直轄境から上流に国道50号まで。計画流量は東武鉄道佐野線橋梁を挟んで上流が毎秒50立方m、下流を毎秒70立方mの河積を確保するため河道掘削や護岸を整備。洪水による溢水被害を抑止する。
整備延長は50立方m区間が800m。市の産業団地開発エリアを流れており、改修用地の確保など市事業と連携する。70立方mは2500mで路線測量対象区間。
植野44号橋と50号橋は東武佐野線から上流に位置。植野44号橋の架設は1959年。橋長7・3m、幅員3・1mのRC橋で河道拡幅に併せ架け替える。
50号橋はボックス工で渡河し、河道拡幅により架け替える。現況は幅4・7m、長さ32・8m。新橋もボックス工を前提に協議を進めている。
菊沢川は15年関東・東北豪雨や19年東日本台風で氾濫。渡良瀬川合流部から50号上流の田島町にかけて広範囲にわたり浸水した。
同地の菊沢川は毎秒20立方mの流下能力しかなく、県は産業団地整備に先行して改修に着手するため22年度、整備手法を検討する概略設計をオリエンタル技術開発に委託してまとめた。
浸水の原因は想定を超える降雨量に加え、樹木の繁茂や土砂が堆積しており、河積が阻害され流下能力が確保されていないと判断。1次改築が完了している現況河川幅を維持しながら、両岸に護岸を立て河床を掘削して毎秒50~70立方mの断面を確保する手法を選択した。
県公共事業事前評価資料によると、東武佐野線付近の標準横断計画は天端19m。計画河床勾配は70立方m区間1500分の1、50立方m区間が650分の1。掘削量は約10万立方m、築堤約7000立方m、護岸工約3万3000平方m。
総事業費約29億円。内訳は測量設計費4億円、用地補償費1億円、工事費には24億円を試算。25年度までに測量設計をまとめ、同年度から用地補償。用地を確保できた箇所から26年度にも工事に着手する計画。
施工にあたっては瀬や渕を極力保全。水際部に植生が繁茂できるようするほか、生物の生息・生育・繁殖環境の多様性にも配慮する。河川の掘削土砂を築堤材に活用するほか、市の50号沿線開発事業など他事業とも調整し、建設発生土の事業間連携を図る。