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日本気象協会渡邊理事長インタビュー

2024/01/18 埼玉建設新聞

 日本気象協会の理事長の渡邊一洋氏に注力事業や今後の展望などを聞いた。渡邊理事長は「日本の民間気象会社のパイオニアとも言える存在。重責を担わせてもらっている」としたうえで「創立100年となる2050年に向けて、成長を続けていけるようにさまざまな手立てを講じる」と意気込んだ。注力事業には「気象が持つデータと社会活動のデータを結び付けてデータ連携ビジネス」などを挙げた。

 渡邊理事長は「気象協会では、2030年のあるべき姿として「気象のチカラで人や社会の価値を創造する」というスローガンのもと、高度な予測技術や気象解析の能力、人の行動や企業の判断や行動を結び付けることで社会全体の質を高めて、社会に役立つ価値を届けたい」と話す。

 注力事業についてデータ連携ビジネスは「気象が持つデータと社会活動のデータを結び付けるもの。ウェザーマーケティングプロジェクトに全社挙げて取り組んでいる。気象データと社会経済活動、人の暮らしのデータを結び付けることによって、社会や経済活動の質を高めるもの。需要予測や商品の売れ行き予測に活用できる」と力を込めた。

 ビジネスアプリとして「法人のお客様について、すそ野を広げていきたい。企業や個人事業主やビジネスパーソンそのものとっても役立てるようなものを提供していきたい」と話した。

 加えて、天気連動広告として「気象の感度が高い商品の販売促進につながるような広告の支援サービス」を挙げた。具体例として「ユニクロと共同でエアリズム予報やヒートテックについて指数を開発して、ユニクロの店舗やSNS、気象協会の天気jpに情報を出すことで、インナーを選ぶ際のおすすめとしてわかるようにする事業を進めている」と説明した。 また「今までの事業の深掘りや横へ広げること」も行う。

 これまで社会防災事業として「地方公共団体の防災支援や道路、鉄道会社に情報を出していた。加えてサプライチェーンを構成するところにも情報を展開し、それぞれの段階で役立てるのではないか」と想定している。

 渡邊理事長は「ここまでの事業の深掘りとして洋上風力発電も大きな事業となっている。さらに沖合にもっていきたい。ただ、支柱が建てられず浮体式の洋上風力発電となるが、ここに機会を見いだせると考えている。例えば、風況観測・波浪予測などについて研究をしている」と展望を話した。

 さらにSNSコンテンツマーケティングとして「SNSによって商品を購入したくなるような気象情報を提供することで客とのコミュニケーションができるようにする」ことなどを行っている。

 座右の銘に「得意淡然、失意泰然」を挙げる。仕事をする中で「自分の会社にとって、死活的に重要な役割を担っている。気象情報は自分たちの商売にとって大切なものと思ってもらっている。きめ細かいコンサルティングの対応や迅速な対応に強い期待がある。世の中に役立つことが使命」と力を込めた。



【略歴】わたなべ・かずひろ 1980年東京大学法学部卒。同年4月運輸省(現国土交通省)入省。国土交通省総合政策局次長、気象庁次長などを経て2023年6月から現職。休日は、読書や音楽、ハリウッド映画鑑賞を楽しむ。

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