矢板市は、国道4号沿い乙畑地内の乙畑小学校周辺農地20ha超に新産業団地を計画していることが分かった。齋藤淳一郎市長が本紙のインタビューに答え、2024年度当初予算案に基本計画等策定費880万円、権利者調査費420万円を盛り込む。候補地は22年度の産業用地適地選定調査を踏まえ片岡地区の乙畑と4号矢板大田原バイパス沿いの土屋~山田地内に至る北部地区約15haの2カ所を抽出。片岡地区を第1候補、北部地区を次候補とした。(3面に齋藤市長インタビュー掲載)
産業用地適地選定調査は栃木都市計画センターに委託してまとめた。南北の幹線道路の4号や東北自動車道ICへの近接性による交通アクセス、造成費用を抑制できる平場の土地を抽出した。
片岡地区は東側を4号、西側は一般県道蒲須坂乙畑線(旧国道4号)が南北に通る。4号を北進すると東北道矢板ICにも至近な交通アクセス性に優れる。候補地一帯は水田を主体とした農地。比高が少なく丘陵地などに比べ造成費用を抑えられる。
24年度は権利者を特定するほか、整備条件や概算工事費などを算出する基本計画を策定。開発調査・造成整備を要望する県の事前協議に向けた基礎資料の作成を進める。
齋藤市長は産業団地開発について、用地費と造成費を合わせた額が分譲額にはね返るとし、東北道矢板北スマートIC開通に併せ新産業団地開発を構想。構想エリアが丘陵地のため造成費用が割高となり計画を断念した経緯がある。
北部地区は事業中の4号矢板大田原バイパスと市道101号線に囲まれた楕円状の土地で旧日新小学校周辺の農地。矢板北スマートICにも近く、バイパス整備の進ちょくに併せ計画を具体化していく見通し。想定面積が20haに満たないため地区計画など整備手法を検討する。
市は22~23年度にかけて製造業や物流倉庫業を中心に、60社以上の引き合いや問い合わせがあったという。希望の立地条件は4号沿いや東北道ICに至近な場所。4号沿いは立地需要が高いと判断した。
矢板市の4号は15年度に片岡~針生間の矢板拡幅6・5㎞、19年度には針生~那須塩原市三区町間の矢板大田原バイパス7・9㎞が事業化。4車線化による機能強化と交通混雑の緩和が図られ、物流や生産性向上などの効果が期待されている。
23年末には片岡と北部の2地区の住民らを対象に産業用地確保に係る意見交換会を開催。用地確保に当たっては新産業団地整備が手段の一つに考えられるとして意見を交換した。