新・甲府市が1日、発足した。同市は甲府市、中道町、上九一色村の北部地域が合併して誕生したもので、平成17年の国勢調査の速報値を合算すると、20万97人と「20万」の大台に達している。面積212・41平方k。県のほぼ中央部に位置し、南北に非常に細長い独特の形状。このため、隣接する自治体は笛吹市、芦川村、富士河口湖町、身延町、市川三郷町、中央市、昭和町、甲斐市、北杜市、山梨市と10市町村に及ぶ。名実ともに県の中核市となる。
甲府市では平成18年度を初年度とする第5次総合計画の策定作業の大詰めを迎えている。同市では行政運営の中心に危機管理体制の整備を据え、防災、交通安全、防犯など安全・安心のまちづくりの重点的実施を目指す。その統合的運用の中枢センターとなる危機管理対策室を4月1日から新設する。同対策室は防犯対策や国民保護計画を策定する危機管理課と防災対策課で編成される。トップは部長職の危機管理対策監。
ハード・ソフト両面の危機管理対策を実効あるものとするためには組織面の再編成とともに、南北に伸びる同市の情報ネットワークの充実も重要になる。さらに、危機管理にとどまらず、高齢者福祉、教育、まちづくりなど市政の多くの重点課題に機動的に取り組んでいくための拠点施設としての統合庁舎の新設も避けて通れない課題である。同市では庁舎建設基金を積み立てており、平成18年度中には建設地、規模、建設時期など新庁舎建設の方向性がまとまる見込み。併せて、現在の分散・狭あい化した市庁舎の地震防災対策、情報化への対応も緊急性が高い。限られた財政の中で諸課題に対して同時進行でいかに取り組んでいくか市当局にとって難しい舵取りを迫られそうだ。
旧中道町、旧上九一色村地区との一体的な市政運営の早期実現も最重要課題である。両地区の自然と歴史・文化を生かした総合的な施策が期待される。市内のネットワークの構築とともに県の中核市としての主導的立場も従来以上に重要になるだろう。全国の自治体間競争が激しくなっている。その中をどう生き抜き、個性的な都市として存在感を示すことができるか。今回の合併は、新生・甲府市の試練であるとともに千載一遇のチャンスでもある。