国土交通省は導入要望の強い多段階審査方式について、予決令(会計法)内でも可能性のある当面の対応策として「技術提案等事後審査型」「技術提案二段階審査型」の2パターンを、たたき台としてまとめた。2月28日に開催した、中央建設業審議会第4回ワーキンググループで提示している。会議では、「会計法やWTOの解釈がややこしくしている。その部分の整理からするべき」という意見があった。同省では今後も継続して、議論を進めていく方針だ。
2パターンの基本的なフローは、図のとおり。「技術提案等事後審査型」では、入札(技術提案・価格)後に▽工事実績、工事成績などの確認▽技術提案があらかじめ公告した基準に達していない者を除外▽予定価格をオーバーした者を除外―の3段階で絞り込み、その後、総合評価する。
3段階の順序は検討課題だが、「最初に技術提案、次に予定価格、最後に工事実績・工事成績確認の順序が、発注者にとっては一番負担が少ない」(同省建設業課)という考えだ。
一方の「技術提案二段階審査型」は、競争参加資格確認の一環として、工事実績の確認や技術提案の提出と審査(簡易+詳細)を行うもの。簡易な技術提案は、あらかじめ公告した基準に達しているかを審査し、その後の詳細な技術提案は、あらかじめ公告しておき、必要な場合に提出させる仕組み。
全体的な課題としては、どのような審査基準で企業を絞り込むか、公正性・透明性確保の観点などが挙げられている。対象工事については、高度技術提案型が妥当という見方で概ね一致。
ワーキンググループでは委員から「まず試行してみてから、必要かどうか検討するのが良いのでは」という意見もあった。
多段階審査について国土交通省幹部は、「最後は数社という方が競争性は高まるというが、10者の場合でも3者の場合でも、全力でゴールを目指す姿勢に違いはないはず。それでもなぜ導入するのかという理論を、きちんと考える必要がある」と慎重な姿勢を見せている。W多段階審査
総合評価方式において、複数の審査で入札参加者を絞り込んでいく方法。建設業者の技術提案作成や発注者の審査・評価の負担軽減を図ることが目的とされている。