国土交通省は、標準労務費の設定に向けた調査を開始する。このほど、ワーキンググループ(WG)の運営などと、工事費内訳調査、調査結果分析や標準労務費案の作成などを業務内容とする標準労務費検討業務の企画競争実施を告示した。業務概算額として9900万円の想定を示している。持続可能な建設業に向けて、これまでの検討から鍵となる中央建設業審議会による標準労務費勧告に向け動きが活発化する。
中央建設業審議会基本問題小委員会の中間とりまとめで、適切な労務費等の確保や賃金行き渡りの担保に向け、適切な工事実施のために計上されるべき標準的な労務費、いわゆる標準労務費を中建審が勧告すると位置付けられた。請負契約締結の際に労務費の相場観を与える役割のほか、廉売行為を規制するにあたっての参考指標としても用いる。標準労務費を著しく下回る積算での請負契約に対し、行政から指導・勧告等を行い、賃金を支払う下請業者まで適正な労務費を確保する。
標準労務費はt当たりや㎡当たりといった単位施工量当たりで明示するもので、標準的な日当(単価として設計労務単価を活用)×標準的な歩掛(人・日)(原則として公共工事の歩掛を活用)に施工量を乗じることで。施工に必要な標準的な労務費とする。
設定に向けてまずは、歩掛などの標準的な規格の決定へデータ調査を実施、分析する。議論は中央建設業審議会の下部組織としてWGを設置する。
工種は土木で1300種類以上あり、さらに型枠工(土木)で10規格、掘削工では61規格あるなど、それぞれ多数の規格がある。標準労務費の作成では、さまざまな規格を整理し工種ごとに「標準的な仕様・条件(=規格)」を特定するため、国交省発注の直轄工事約3万件を分析する。歩掛等ごとに、規格の使用頻度、規格の相関などを調査し、整理、複数の規格をまとめた標準的な規格を決める。
調査は施工パッケージなどで労務費割合が判明している工種は、過去の工事費内訳から調査分析。市場単価などを使用して労務費割合が分からない工種は割合の特定からはじめる。直轄工事で発注がない戸建て住宅など歩掛が存在しない工種は公共団体・業界団体に要請して工事データを入手して進める。
なお、これらのデータ調査・分析には半年程度は必要とみられており、WGの設置時期は夏以降になると見込まれる。