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木造住宅耐震化の強化を/2024年度当初予算案で/知事会見

2024/02/07 山梨建設新聞

 県は、知事記者会見を1日に開き、2024年度当初予算案について長崎幸太郎知事が説明した。予算の計上額は現時点で一般会計におおむね5145億円程度を想定する。主な事業では、防災・減災対策として、木造住宅耐震化の啓発強化と耐震診断を強く促す。公共事業においてはインフラ整備を重点に、国の経済対策を活用しながら進める。富士山における総合安全対策では、計画的にシェルターを設置する。地域の高付加価値化では、道の駅富士川を利用したブランド価値を高めるための検討を進める。

 24年度は災害や経済社会情勢の変化にも柔軟に対応できる県民生活の強靱化を進めていく。喫緊の課題にも迅速に対応し、成すべきことを先送りせず、ふるさと強靱化と開の国づくりの取り組みを加速化し、充実を図る。

 先月1日に発生した令和6年能登半島地震において木造住宅の倒壊被害が甚大となった。被害の発生地域では住宅の耐震化率が低いことが判明したという。住宅の倒壊は居住者の生命を脅かすだけでなく、救援物資の運搬や復旧作業にも影響する。本県の住宅耐震化率は上昇しているものの、今だに4万戸以上は未対応と把握する。うち8割以上は耐震診断を受けていない状況。このため計上予定の主な事業のうち、防災・減災対策では、木造住宅の耐震化について啓発を強化し、耐震診断を強く促す。県では自己負担なしで耐震改修が行えるよう、上限額の引き上げなど補助制度を拡充する。

 また、災害発生時に必要となる物資の確保については、今回の地震被害を受けてさらなる検討と必要な見直しを行う考えだ。

 公共事業について長崎知事は「引き続き事業量を確保しつつ、自然災害から県民の生命や財産を守るためのインフラ整備を重点に置き、国の経済対策を活用しながら進めていく」と話した。

 このほか、災害時に影響を受けにくい人工衛星を利用したインターネットサービス「スターリンク」を導入して情報収集や共有体制の一層の強化を図る。

 富士山における総合安全対策としては、下山道における噴石、落石対策を進める。現状、噴石や落石など自然災害の発生時に避難可能な施設が無いため、避難できるシェルターを計画的に設置する。

 障害者支援体制の充実としては、サービスの地域偏在解消に向けて、施設の新規開設を早急に進める。入所施設の新規開設に向けた補助金の補助率を引き上げて促進を図る。来年度に事業者の募集を行う予定。

 地域の高付加価値化に向けた取り組みとしては、峡南方面にコストコが開業することにより、中部横断自動車道の利用拡大が見込まれる。沿線に位置する道の駅富士川を利用し、来訪者に本県のブランド価値を高めるための消費拡大や滞在時間延長につなげる仕掛けづくりを検討していく。

 また、甲府地域では北部の森林公園として親しまれている武田の杜の価値を向上させるため、近隣の観光資源との相乗効果を生み出す検討を進める。

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