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【都市緑地法など改正】国が基本方針策定/支援機構指定や認定制度創設

2024/02/13 本社配信

 13日に閣議決定した都市緑地法等の一部を改正する法律案は、緑のネットワークを含む質・量の両面で都市緑地の確保に向けて、国による基本方針の策定、緑地の機能維持増進事業、都市緑化支援機構の指定、民間の良質緑地確保の評価・認定制度、民間都市開発事業の認定などの制度を創設する。閣議決定したため、今国会に提出され審議に入る。法案成立、公布から6カ月での施行となる見込みで、それまでに各種制度の実施に向けた準備などが進められる。

 今回の改正については、日本が諸外国に比べて緑地の充実度、緑被率などが低く、減少傾向にあることや、気候変動や生物多様性確保、ウェルビーイング(幸福度)の向上などに向けての緑地に対する期待の高まりなどがある中、地方公共団体の財政的制約、緑地の整備・管理に対するノウハウ不足、民間でも取り組みが限定的になっているなど、対応に迫られていた。改正法案は▽国主導による戦略的な都市緑地の確保▽貴重な都市緑地の積極的な保全・更新▽緑と調和した都市環境整備への民間投資の呼び込み―の3方策を進めるもの。

 戦略的な都市緑地確保は、都市緑地法改正で国の方針として国土交通大臣が都市における緑地の保全等に関する「基本方針の策定」が義務付けられる。都道府県による「広域計画(仮称)」については、定めることができるとの規程となる。また、都市計画法改正で、都市計画を定める際の基準に「自然的環境の整備または保全の重要性」を盛り込み、緑地の位置付け向上を図る。

 都市緑地の保全・更新では、都市緑地法改正で緑地の機能維持増進について位置付ける。緑地の再生・整備(更新)を「機能維持増進事業(仮称)」とし、特別緑地保全地区で行う場合は、実施に関する手続きを簡素化できる特例を創設する。実施には都市計画税の充当を可能とする。

 さらに、都市緑地法、古都保存法、都開資金法を改正し緑地の買い入れを代行する国指定法人制度を創設する。都道府県や市の要請により、緑地の買い入れや機能維持増進事業を行う「都市緑化支援機構(仮称)」の指定制度を作るもので、都市緑化を行っている一般社団法人などを対象に全国で1団体を指定する。同機構が行う業務は都市開発資金の貸付で支援する。

 民間投資の呼び込みへ都市緑地法、都開資金法を改正し、民間事業者など緑地確保について認定制度を創設。指針を国が策定し、民間の取り組みは国土交通大臣が認定するもの。認定審査に当たり調査する機関の登録制度も創設する。認定された取り組みは都市開発資金を貸し付けて支援。

 脱炭素化に貢献する都市開発事業の認定制度は、都市再生特別措置法改正で対応。緑地創出、再生可能エネルギー導入、エネルギー効率化などが対象で、認定を受けると民間都市開発推進機構が金融支援を行う。

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