岸田文雄内閣総理大臣は9日、官邸で外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議を開催した。技能実習制度および特定技能制度の在り方に関する有識者会議最終報告書を踏まえ、政府の対応について決定した。
現行の技能実習制度を実態に即して発展的に解消し、人手不足分野における人材確保と人材育成を目的とする育成就労制度を創設する。
受入れ対象分野は「特定産業分野」に限定。基本的に3年間の就労を通じた育成期間で特定技能1号の技能水準の人材を育成する。
業務区分の中で主たる技能を定め、計画的に育成・評価する。人材育成の評価は就労開始前、特定技能1号移行時、2号移行時に日本語能力、特定技能評価試験の合格などが要件となる。日本語能力の向上方策としてインセンティブの設定、学習支援の実施などを進める。
転籍については、やむを得ない事情がある場合の範囲を拡大・明確化する。手続も柔軟化し、現行制度下でも速やかに運用改善を図る。
さらに本人意向による転籍は、3年間一つの受入れ機関での就労が効果的であり望ましいが▽同一機関で就労した期間が一定期間を超えている▽技能検定試験基礎級等・一定水準以上の日本語能力に係る試験に合格▽転籍先が適切であると認められる一定の要件を満たす―場合に同一業務区分内に限り認める。
なお、監理支援機関・登録支援機関、受入れ機関、送り出し期間、外国人育成就労機構などといった関係機関も機能の強化などを図る。
監理団体(監理支援機関)は受入れ機関と密接な関係を有する役職員の監理への関与の制限、外部監査人の設置の義務化等により独立性・中立性を担保。特定技能外国人の支援業務の委託先を登録支援機関に限定するといった変更がある。
岸田総理は「政府としては、共生社会の実現を目指し、わが国が外国人材から選ばれる国になるという観点に立って、決定した方針に基づき、技能実習制度、特定技能制度の見直しに向けた作業を進めていく」と話しており、関係閣僚は「法務省の総合調整機能の下、連携を強化、今国会への法案提出に向けた作業の加速化」など外国人材の受入れ環境の整備に取り組むよう指示した。