国土交通省は16日、3月から適用する公共工事設計労務単価を明らかにした。2023年度に行った公共事業労務費調査に基づき決定したもので、全国全職種(51職種)の単純平均は前年度比5・9%増で2年連続の5%以上の大幅な伸びを示した。全国全職種の加重平均値は2万3600円で、単価算出方法を大幅に見直した2013年度以降、12年連続で上昇を維持。変更前の12年度比で75・3%増加している。斉藤鉄夫国土交通大臣は建設業界に対し「次なる単価引き上げにつながる好循環を実現できるよう、各社の賃上げを強く働きかける」と話している。
単価設定は、最近の労働市場の実勢価格と適切・迅速に反映するとともに、これまでも対応してきたが時間外労働上限規制が適用となるため、全事業者が対応できるよう必要な費用を反映させている。特に、前回5・2%上昇を背景に、建設業4団体との申し合わせ、政府を挙げてのデフレ対策、物価上昇に負けない賃上げなどを追い風に価格転嫁の働きかけも効いてきており、上昇した賃金が反映されている。なお、昨年の消費者物価指数では物価上昇率は3・2%となっている。
同日の会見で斉藤大臣は「4月からの時間外労働規制の導入を踏まえて設定したもの。引き上げを受け、建設業界に対し、その準備を着実に進めるよう強く促すとともに、各社の賃上げを強く働きかけていきたい」と話した。さらに今国会に提出予定の建設業法改正にも触れ、適正労務費の基準や、資材高騰の契約変更方法の明確化、価格・工期のダンピング禁止など「新たなルールを導入し、これらの処遇改善サイクルに取り組むことで、建設業の担い手確保と持続可能な建設業の実現に全力を尽くしていく」と語った。
公共工事で一般的に従事されている主要12職種の加重平均値は2万2100円で、前年度比では単純平均で6・2%増となり全職種平均よりも伸びている。「交通誘導警備員B」が7・7%、「運転手(一般)」は7・2%増で7%台。「鉄筋工」「型わく工」が6・6%増、「交通誘導警備員A」が6・4%増などと高い伸び率を示した。
労務単価には事業主が負担すべき必要経費分(法定福利費、安全管理費など)が含まれておらず、下請け代金に必要経費分を計上しない、または下請け代金から値引くことは不当な行為であることから、国交省では引き続き注意喚起している。
なお、「建築ブロック工」は十分な有効標本数が確保できず、単価設定に至らなかった。