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【広域機関】工事費1・8兆、工期10年/東地域系統増強計画で想定示す

2024/02/27 本社配信


 電力広域的運営推進機関(広域機関)が検討を進めている北海道~東北~東京間の日本海ルート2GWの海底ケーブルを中心とする東地域連系線増強等で、工事費を1・5兆円から1・8兆円とする試算が明らかになった。また、概算工期は6~10年程度の想定としている。年度内に基本要件案をまとめ、2024年度以降は事業化に向けて事業実施主体の決定などに移る。

 東地域系統増強方策は、北海道・東北エリアの再エネ大量導入に対し、東京エリアへ効率的に送電するため2GWを基本に、北海道~東北~東京をHVDC(海底ケーブルルート)を新設するもの。

 工事費の内訳は海底ケーブルなど海域工事が8700~1兆1000億円、交直変換所新設など陸上工事が4700~5100億円、アクセス線・開閉所工事に1700億円。

 海域工事は、後志エリア(北海道)から秋田エリアまでの海底ケーブルルート480km、秋田エリアから新潟エリアまでの海底ケーブルルート320km、その他として傭船費・保険料等。

 陸上工事は、後志エリア交直変換所新設(変換器1GW×2×1セット)、秋田エリア交直変換所新設(1GW×2×2セット)、新潟エリア交直変換所新設(変換器1GW×2×1セット)と、その他として通信回線・給電システム改修・保険料等。

 アクセス線・開閉所工事は、北海道エリアで新設65km、新設40km、開閉所・引出。東北エリアは新設35km、変電所引出。東京エリアで新設11km、開閉所・引出。その他に通信回線・給電システム改修等を行う。

 仕様としては▽交直変換所=±525kV総局2GW▽直流海底ケーブル=±525kV双極1回線▽直流地中送電線=揚陸箇所:北海道6km、東北3km×2、東京3km▽交流架空送電線=北海道275kV、東北・東京500kV、いずれも2回線新設▽交流開閉設備=北海道:変換所引込275kV2回線引出し×2、既設系統分岐地点275kV開閉所新設6回線引出し×2カ所、東北:変換所引込500kV2回線引出し、既設系統接続地点500kV変電所2回線引出し、東京:変換所引込500kV2回線引出し、既設系統分岐地点500kV開閉所新設6回線引出し▽その他=現場経費・一般管理費・通信回線ほか

 なお、費用便益評価は評価期間25年で0・63~1・36、40年の場合は0・75~1・72。

 今後については、国の審議会での議論を踏まえ、基本要件案を年度内に検討。24年度は事業実施主体・実施案の募集・評価・決定、整備計画の策定へ進む考え。

東地域HVDC新設(2GW)の工事概要

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