宇都宮市は、宇都宮競輪場の選手宿舎(東戸祭1丁目)の改修・増築工事に着手する。設計施工一括発注のDB方式で4月にも公告。事業者との契約は9月議会承認案件となる。10月から基本設計と実施設計を進め2024年度内に成果品を納入。25年度に増築棟を着工し、26年度に既存宿舎を改修する。新年度当初予算案には設計費約6000万円を計上。工事費は25~26年度の債務負担行為限度額13億2000万円を設定した。
増築棟の建設地は既存宿舎東側の選手用駐車場。施設規模はRC造4階建て延べ1500平方m程度を想定。1階に大浴場と会議室を設け、2~4階に1室10平方m程度52人分の居室を配置する。
既存宿舎はRC造3階建て延べ床面積2093平方m。1986年3月の完成で築37年が経過。老朽化が著しい状況。改修工事では4人部屋を2部屋にし個室化。66人分の居室を創出する。1室あたりの面積は10平方m。DB方式のメリットを生かし選手ニーズに則した居室空間を確保。
レイアウト変更のほか食堂の拡張、照明LED化など設備更新、壁や床の老朽箇所も修繕する。
市公営事業所によると、既存宿舎と建設地は10mの高低差があり、駐車場との既存連絡通路を活用するか、新たな連絡通路を設けるかが提案の大きなテーマになるという。
ガールズ競輪にも対応できる施設整備とし、増築棟、既存棟それぞれに設ける大浴場には女性も入りやすいよう男女の動線を明確化。既存宿舎にこれまでなかった女性用トイレも設置する。
市は競輪開催運営ガイドラインの「選手宿舎の整備・改善指針」に沿って整備する方針。指針では▽宿舎は原則、競輪場内または競輪場に隣接▽宿泊室一人当たりの面積を原則7平方m以上▽食堂は宿泊者全員が利用できる広さを確保▽浴室は宿泊定員の少なくとも20%が同時利用▽空調は各部屋で調整可能-などの基準が示されている。
競輪選手の宿舎利用は約120日間。残り260日間は空き期間となるため、改修後の宿舎と増築棟は学校の合宿利用や自転車競技団体、スポーツ団体への貸し出しなどを検討する。
近年の競輪は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため9車立てレースから7車立てに移行。7車立てが主流になったものの、GⅢ以上のレースは9車立てに戻っている。
宿舎居室は7車立て12レースの場合、84人分と余裕があるが、9車立てレースが開催されると118人分が必要。現状では収容が難しい状況となっている。
また、2004年に始まったガールズ競輪は人気が高まり年1回から8回に増加。8回のレースで宿舎利用は24日間となるが、既存宿舎が男性仕様なため市内ホテルへの分宿で対応していた。
市はアスリートファーストの観点で競輪選手のニーズに対応。施設整備を計画的に行い、選手パフォーマンスの向上や入場者数・売り上げ確保に向けた観戦環境・競走環境の充実を図る。