国土交通省は、コンクリートの生産性向上に向けて2024年度、大型ボックスカルバートを対象にプレキャスト試行要領案の評価項目を検証して実施要領案を策定し、25年度の実装を目指す。これまでも取り組んできた過年度業務成果を用いた試算に加え、実際の直轄設計業務に試行要領案を適用する取り組みを行う。また、過年度業務成果はプレキャスト、現場打ち双方の成果を用いて検証、過年度設計であれば実際に工事が始まっている場合もあるため、施工者を含めたフォローアップ調査も行う。
プレキャスト工法の導入はこれまで、従来工法に対してコスト面を中心とした形式や工法を選定してきた。コスト面を意識しつつもVFM(ValueForMoney)の考え方を取り入れ、省人化効果、働き方改革寄与度、安全性向上、環境負荷低減などといったコストでは測れない評価を含めた最大価値となるやり方を探っている。
具体的にはコスト評価の他に定量的評価項目を設定、評価の重み付けを合計100点として22年度は検証。さらに数値化が不可能な項目として定性的評価を追加し、重み付けを見直して23年度は検討を実施した。
24年度の取り組みは大きく3つ行う。
一つは過年度業務成果を用いた試算(検証)。各地方整備局から過年度業務の報告書を収集し、試行要領案を適用した試算を行う。これまではプレキャストを採用した業務で試算してきたが、今回は現場打ちを選択した業務も含めて行う考え。各地方整備局で3~4件程度抽出して検証する。試算したデータを分析し、評価項目・配点(重み付け)を見直す。さらに、これまで業務受注企業と発注者に対し行ってきたフォローアップ調査は、過年度業務を対象とすることから施工者がいれば調査に加える。
二つ目は、設計業務による試行・フォローアップ。直轄の設計業務に適用し試行する。各地方整備局で1~2件程度で、受発注者にフォローアップ調査を行う。なお、大型ボックスカルバートの案件がない場合は大型L型擁壁など、類似案件で試すことも視野に入れている。設計後も追跡する考え。
これら試算、試行を踏まえ、24年度末までに実施要領案を策定し、25年度の実装を目指す。他の構造物への適用なども検討する。