国土交通省と建設業4団体は8日、総理大臣官邸で関係閣僚出席のもと、賃上げに関する意見交換会を開催し「5%を十分に上回る上昇」を目標にすることを申し合わせた。岸田文雄内閣総理大臣は「私からも5%を十分に上回る賃上げを、各社において強力に進めていただくようお願いする」と発言している。昨年の目標「おおむね5%」を引き上げた「5%を十分上回る」を掲げ、新たな目標へ取り組む。
意見交換会では斉藤鉄夫国土交通大臣が建設業の賃上げ、働き方改革に向けた政府の取り組みを説明。閣僚からは、新藤義孝経済財政政策担当大臣、宮﨑政久厚生労働副大臣、松村祥史防災担当大臣、古谷一之公正取引委員会委員長が発言。賃上げに対する取り組みなどを示した。
業界団体からは日本建設業連合会の宮本洋一会長、全国建設業協会の奥村太加典会長、全国中小建設業協会の土志田領司会長、建設産業専門団体連合会の岩田正吾会長が、12年連続となる設計労務単価の上昇に対して感謝の言葉を伝えるとともに、それぞれの取り組み状況を示した。その中で、民間発注者に対して「必要な価格転嫁」「働き方改革への対応」などへの協力の働きかけや、チェック体制の整備などを求める声があった。
国交省と4団体との申し合わせは、技能者の賃上げ目標と働き方改革の2点。
設計労務単価の引上げが昨年を上回ったことを踏まえ、技能者の賃上げ目標も昨年を上回る目標となった。働き方改革については、労働時間上限規制の導入も踏まえ「必要な対応に万全を期す」ことを申し合わせた。
岸田総理は、建設業が置かれている状況を考慮し、未来に前向きな新3K産業に変えていかなければならないとした上で「官民挙げた取り組みを通じてコストカットの縮み志向から、成長型経済への転換を図り、設備投資と公共投資を支える建設業の担い手確保と持続的な発展につなげたい」と協力を求めた。