総務省、農林水産省、国土交通省、環境省は汚水処理施設の広域化・共同化計画実施マニュアルをまとめる。これまで計画策定マニュアルの改定の位置付けで検討してきたが、広域化・共同化が実施の段階にあることから、実施マニュアルとして策定する。11日に開催した検討分科会で実施マニュアル案を示した。年度内に公表するスケージュールで、持続可能な汚水処理を目指す。
広域化・共同化計画は、2022年度末までに全都道府県で策定が完了している。今後は、計画に位置付けられた取り組みを実施し、広域化・共同化を推進する段階に入る。そこで、実施マニュアルでは、汚水処理事業の持続可能性を確保する上で広域化・共同化計画推進の必要性を示した上で、CAPDの4ステップを繰り返し、取り組み内容の拡大、高度化を図り、広域化・共同化の深化を図る考え方を示した。
さらに、広域化・共同化の取り組みを継続するため、都道府県を起点とした進捗管理の重要性を示し、最低限行うべき進捗管理の方法を明らかにしている。
現在の広域化・共同化計画にない新たな取り組みを立案した場合等における計画変更の考え方を明確化。また、広域化・共同化の各種取組の事業化フローを示し、検討・事業化を進める上での留意事項なども整理、取り組みが進めやすいようにしている。
なお、水道事業で進められている事業統合・経営の一体化について、同様の取り組みを下水道事業で実施する場合の論点も示している。
汚水処理事業の運営は、施設等の老朽化に伴う大量更新期の到来や、人口減少に伴う使用料収入の減少、職員数の減少による執行体制の脆弱化などにより、経営環境は厳しさを増している。都道府県や市町村が連携・協力し、広域化・共同化計画に位置付けられた取り組みを実施して、持続可能な汚水処理事業の運営を図ることになる。
一方、能登半島地震では汚水処理施設も被害が発生した。集約施設が被災した場合、影響が広範囲にわたると考えられ、広域化・共同化にあたっては、災害時の対応も考慮した上で検討を進めることが求められる。