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【上下水道】5月に中間まとめ/地震対策のあり方検討

2024/03/12 本社配信

 国土交通省は、能登半島地震を踏まえ、上下水道における今後の地震対策のあり方について検討を開始した。審議するのは▽上下水道施設の被害を踏まえた今後の地震対策のあり方▽被災市町の復興に向けた上下水道の整備の方向性(地域への助言)▽上下水道一体での災害対応のあり方―。4月からの水道行政移管をにらみ厚生労働省と連携し、12日には第1回委員会を開いた。5月中旬の第2回を経て中間とりまとめ、8月ごろの第3回で総括して最終とりまとめにつなげる。

 初委員会の議題は、能登半島地震の概況、上下水道施設の被害状況、被災市町の特徴と復興に向けた留意点、復旧支援状況・課題、本復旧に向けて配慮すべきこと。

 水道施設の被害状況は、浄水場など場所によって損傷の程度が異なるが、耐震対策を行った施設はおおむね機能が確保されていた。管路施設の被災状況(箇所/km)は過去の大規模地震と比べても非常に高い。今回の輪島市が2・63。熊本地震の熊本市0・03、新潟県中越地震の長岡市0・30、東日本大震災の仙台市0・07。大規模な斜面崩落部で耐震管が損傷した事例はあるが、その他の耐震管ではおおむね機能が確保されている。

 下水道は、詳細調査が必要な管路の割合は高く、調査で不具合が確認された割合も高い。だが、そのほとんどは流下能力は確保できていた。埋め戻し3工法の施工箇所では液状化は確認されず、既設人孔の浮上防止対策実施箇所は人孔浮上は確認されなかった。珠洲市で復旧が遅れている原因は、処理場に直結する圧送管が耐震化されておらず損傷したため。重要な幹線の早期耐震化は必要との見解を示している。


◎本復旧に向けて 現行指針が適当


 上下水道施設に関しては、いまだ応急復旧中であり、被災状況の調査も途上だが、一日も早い本復旧が強く求められている。被災自治体において本復旧の本格化に当たっての方針を示した。

 水道施設は、現時点で耐震化した施設はおおむね機能が確保されており、現行の耐震設計の考え方は有効。復旧に当たっては、水道施設耐震工法指針・解説2022年版に準拠して設計・施工することが適当としている。

 下水道施設は現時点の評価で、管路で多くの被災があったが流下機能はおおむね確保されていた。下水処理場やポンプ場も致命的な損傷がなかった。このため現行の耐震設計の考え方は有効で、本復旧にあたっては、下水道施設の耐震対策指針と解説2014年版に準拠して設計・施工することが適当とした。

上下水道の地震対策のあり方を検討

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