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栃木市、衛生センターを更新、6月に基本構想素案、新年度から設計

2024/03/16 日本工業経済新聞(栃木版)

 栃木市は、衛生センター施設整備基本構想策定スケジュールを変更した。素案作成を6月に延期し、成案は9月に策定する。2024~26年度の3カ年で基本計画・基本設計をまとめ、整備業者を27年度に選定する。28~30年度の3カ年で更新工事を進め、31年度の新施設稼働開始を目指す。業者選定から稼働開始までのスケジュールに変更はない。

 県が22年度に策定した生活排水処理構想の広域化・共同化計画を踏まえ、市は現施設(城内町2丁目)に隣接の県巴波川浄化センターと連携する共同処理方式を想定。当初は23年度の策定を予定し、し尿処理施設整備基本構想をエイト日本技術開発に委託した。

 県と協議の結果、県施設に市のし尿を受け入れる余力がないことが判明。県施設の処理能力増強工事が市施設整備期限の30年度までに施工されず、市の前提条件をクリアするには市が県施設の処理能力増強工事費を負担しなければならない。

 新たな検討課題が生じたため、基本構想の修正が不可欠。共同処理方式だけでなく単独処理方式も選択肢に加え、現施設の長寿命化を視野に入れる。主な内容は①共同処理方式の整備費と運営費②単独処理方式の整備費と運営費③現施設の長寿命化可能性の検討。

 計画では受け入れ貯留棟と水処理棟を一体で改築する。現施設は敷地1万6340平方m。RC造2階建ての受け入れ貯留棟、水処理棟、管理棟の3棟で構成。延べ床面積は貯留棟1508平方m、水処理棟2260平方m、管理棟365・27平方m。

 全棟が新耐震基準を満たす。築年数は貯留棟と管理棟が39年、水処理棟が28年。し尿は貯留棟で前処理を済ませ、水処理棟で分解。処理水は放流し、汚泥は再資源化している。貯留棟と水処理棟で連携処理するため、分離更新は現実的ではない。

 生し尿と浄化槽汚泥が搬入され、1日当たりの処理能力は75㎞㍑。21年度は2万3542・8㎞㍑が搬入され、日量64・5㎞㍑を処理した。現施設は栃木、大平、都賀、西方地域のし尿を処理。新施設は藤岡、岩舟地域を含めた処理能力に拡大する。

 19年度の余寿命検討では土木建築、機械配管、電気計装設備を現地調査し、劣化状態を把握。詳細調査の結果、貯留棟構造体の安全性担保は35年度までが限界。機械設備のFRP劣化や鋼鉄部の腐食進行を考慮し、不測の事態を避ける整備方針を導いた。

 更新時期は余寿命限界から5年間の余裕を見込み、31年度への前倒し方針が決まった。県は国の汚水処理施設指針に基づき、下水道、農業集落排水処理施設、し尿処理施設の広域化・共同化計画を策定。市の基本構想は県計画を反映した内容とする。

 県は①効果的で効率的な施設による良好な生活環境と水環境の早期実現②施設の適正管理と経営健全化による持続可能な生活排水処理システム構築③汚泥再資源化による循環型社会への貢献④構想の見える化による県民と一体となった取り組み-を強化する。

 市は県南ブロック(足利、佐野、栃木、壬生の4市町)に位置付けられ、県が課題の共有や広域化・共同化の効果を検討。県はブロック単位の共同化・広域化が可能な施設を短期、中期、長期で示す。県計画は市計画のハード対策の指針となる。

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