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栃木県小山市

小山駅東口広場再整備、新年度に予備設計、ペデストリアンデッキ総工費10億円

2024/03/21 日本工業経済新聞(栃木版)

 小山市は、小山駅東口駅前広場再整備事業に着手する。駅東西間を連絡する中央自由通路「さくら道」と駅前広場にアクセスする「大学通り」を上空で結ぶペデストリアンデッキを整備し、安全安心な歩行者空間と円滑な車両動線を確保する。2024年度は地質調査と予備設計を委託し、25年度は実施設計委託に移行。26年度にデッキ下部、27年度にデッキ上部を施工。28年度の供用開始を目指し、総事業費約10億円を見込んでいる。

 24年度当初予算では事業費5200万円を計上。内訳は駅周辺地区交通量調査委託100万円、地質調査委託3100万円、ペデストリアンデッキ予備設計と全体計画策定委託2000万円。自由通路乗降口前の横断歩道で歩行者と車両が交錯するのを解消する。

 駅中央自由通路は延長90m、幅員10m。エスカレーターは東西口に上下各2基、通り抜けタイプのエレベーター(18人乗り)は東西口に各1基を備える。階段は西口が南に下り、東口は北に下りる形。階段はエレベーターに沿って設置されている。

 駅中央自由通路は12年度に開通。思川桜の花びらをイメージした淡いピンクの床にちなみ、さくら道と命名。13年度には自由通路近くに市営駐輪場、自由通路階段下に公衆トイレ、自由通路北側歩車道を整備。駅前広場の機能充実や利便性向上に努めた。

 自由通路前の横断歩道には信号機がなく、歩行者横断中は停止の車列ができる。朝夕のピーク時は一般車両の送迎利用が多く、バスの定期運行に影響を及ぼすほどの交通渋滞が発生。歩行者と車両動線の分離が求められ、自家用車とバスの乗降場も入れ替える。

 市は事業化を前に歩車道分離手法を①立体横断施設の設置②平面形状の再編-の2案を比較検討。立体横断はペデストリアンデッキ設置と自家用車、バス乗降場の入れ替え。平面形状再編は南側広場を公共交通、北側広場を自家用車専用に変更する内容。

 費用対効果やメリットとデメリットを総合的に検証した結果、両手法とも概算費用は同じだった。立体横断施設は課題を早期に解決できる上、施工範囲が限定。平面形状変更は施工範囲が広く、交通事業者や警察との協議調整に時間を費やすことから断念した。

 駅自由通路の延伸先には白?大学や大手家電量販店が立地。18年度に進出した大学側は市に対し、駅から校舎に直結するペデストリアンデッキの設置を要望。市は全体計画を策定する中で白?大、JR東日本、JR貨物、バスやタクシー事業者と協議を重ねる。

 26年度の下部工支柱設置の際は、支障となる地上工作物と地下埋設物件を移設。着工前に占用者と協議を済ませる。供用開始後の28年度は駅から遠いバス乗降場を駅近くに移設し、バスの定時性を可能な限り確保。現在のバス乗降場に乗用車乗降場を移す。

 駅前広場整備直後の09年度のバス利用者は年間約36万人。20年度の約74万人に比べ、半数に満たない状況。近年は高齢化に伴い市営バス利用者が増えており、今後は自家用車から公共交通への転換が一層進む見通し。

 23年度は駅東口駅前広場交通動線改善検討をオオバに委託。交通量、駅前広場周辺交通動態を調査。乗降場入れ替えの際はバス乗り場の嵩上げ、点字ブロックの付け替え、バス用ベンチの移設が必要ながら大きな問題はない。駅前広場の回遊性向上を優先する。

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