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栃木県小山市

小山市、博物館を移転新築、新年度に基本計画、民活導入可能性調査

2024/03/22 日本工業経済新聞(栃木版)

 小山市は、新市立博物館整備基本構想案をまとめた。築40年以上が経過する乙女1丁目の現博物館を移転新築し、間々田八幡宮北東部に新設する「間々田のじゃがまいた伝承館」との一体的な整備を目指す。2024年度は基本計画策定と並行し、民間活力導入可能性調査を委託。市場性の有無、民間事業者の参画意欲、効果的で効率的な官民連携の在り方を検証し事業手法を決定する。事業手法次第で整備スケジュールは異なるものの、最長でも29年度には開館の予定。

 24年度当初予算では基本計画策定委託料1000万円、民間活力導入可能性調査委託料799万7000円、土地収用法に関する事業支援業務委託料988万9000円、新博物館整備検討懇話会運営費47万6000円を配分している。

 23年度の基本構想策定はトータルメディア開発研究所が担当。現博物館の現状や課題を整理し懇話会の意見を踏まえた新博物館が目指す基本理念、活動方針、機能、規模、配置を検討。同一敷地に計画する「じゃがまいた伝承館」との関係性を整理した。

 建設候補地は間々田2431-3の市道4243号線沿いの農地。現博物館に近く、国道4号からのアクセス性に優れる。両施設を一体的に整備することで機能面での相乗効果を期待。23年度に策定した伝承館整備基本計画の内容を最大限尊重する。

 公設公営の現博物館運営は職員の事務負担が大きい。新博物館の事業手法に①従来方式(設計・施工分離発注)②DBO方式(設計・施工・維持管理運営一括発注)③PFI方式(民間資金活用による設計・施工・維持管理運営一括発注)-の3案を比較検討。

 想定スケジュールは25年度が従来方式は基本設計、DBO方式はアドバイザリー業務委託と事業者選定、PFI方式はアドバイザリー業務委託。26年度は従来方式が実施設計、DBO方式が一括発注、PFI方式は事業者選定という流れ。

 現博物館はRC造2階建て延べ1908平方m。建物や設備の老朽化に加え、収蔵スペースが不足。収蔵庫は飽和状態で、旧校舎を活用。温湿度管理や害虫対策の見直しが必要。22年4月に改正された博物館法の「デジタルアーカイブの作成と公開」に未対応。

 基本構想の中心となる考えは「田園環境都市おやま」を未来につなぎ、多彩な資源と人々を結ぶ場の役割を果たすこと。「魅力」「地域」「人」「未来」の4つをつなぐ拠点(ハブ)に位置付け、収集保存、調査研究、展示発進の博物館活動の基盤を強化する。

 収集保存方法は資料ごとの収蔵庫を館内に整備、体系的な収集と文化財の管理、市民からの寄贈や寄託による資料の収集、保存環境設備の導入、展示品の大小に応じた収蔵空間の確保、収蔵資料を活用しやすい仕掛け、計画的な収集保存方針の策定。

 展示は考古、歴史、民族、自然-の4ゾーンをガイダンスでつなぎ、来館者一人一人の発見へ導く構成。建設方針は①誰もが使いやすく安心②利便性の高い施設③文化財保存に適した施設機能と保存環境④収蔵スペース確保⑤災害に強く環境負荷に配慮した施設。

 現博物館は展示の固定化や自然分野の資料が活用できておらず、新博物館は常に新鮮な情報発信や来館者の興味に応じた学びを提供できる展示を強化。新博物館を核に、個々の施設で完結している文化施設との「歴史文化ネットワーク」を積極的に構築する。

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