国土交通省は、令和6年能登半島地震で発生した液状化災害の再発防止に向け、直轄調査による被災市町の支援として、対策工法検討を行い、自治体へ提案する。対策は地下水位低下工法と地盤改良工法の2つを組み合わせた形になる。建物・宅地の安全性確保へ、面的な液状化対策と建物の耐震化を一体的に行う宅地液状化防止事業などの補助率アップなどを実施。復興まちづくりに向けては、UR都市機構も含め支援体制を強化する。
液状化被害の被災件数は石川県で約3500件、富山県約2000件、最も多い新潟県で約9500件にのぼる(2月28日国交省まとめ)。
再発防止への対策検討調査は、液状化被害を受けた地域全域で被害状況調査を実施。加えて、側方流動が発生し特に著しい液状化被害が集中した地域は、地形・地質等に関する既存資料収集・分析などから被害のメカニズムを推定し、詳細な地質等の把握へボーリング調査など行い、地形・地質等の条件を踏まえた効率的な対策工法を検討。まちづくりの観点を含めて自治体へ提案する。その後、自治体による液状化対策の実施となる。
対策の方向性イメージは、現在の地下水位よりも下、地表から3m程度の位置に地下水位を下げるため地下水排水管、地下水排水溝による排水を行う地下水低下工法。地盤改良工法は地下水位よりも下で行う。2工法を組み合わせながら対策を検討する。
宅地液状化防止事業は▽当該宅地の液状化で道路、公園、下水道、河川、水路など公共施設に被害が発生するおそれ▽変動予測調査等で液状化による顕著な被害の可能性が高いとされた3000㎡以上の一団の区域で、区域内家屋が10戸以上―などが基本的な要件。
補助率は宅地液状化防止事業に要する費用の2分の1に引上げ。事業実施に支障となる被災した地盤や基礎の復旧など、必要な準備工事を地方公共団体が支援する場合、効果促進事業として支援する(民間施工の場合の補助率3分の1以内)。交付金事業者は、都道府県・市町村、宅地所有者等。市町村が施工する場合の市町村負担は地方債と普通交付税(措置率95%)で措置。所有者が施工する際の市町村負担の8割は特別交付税で措置する。
個別に建物の耐震化を図る必要がある場合は、住宅・建築物安全ストック形成事業を活用。マンションを除く住宅を対象に▽密集市街地等(防火改修含む)=150万円▽多雪区域=120万円▽その他=100万円―。補強設計等費、耐震改修工事費(耐震改修に必要な住宅の傾斜修復を含む)を合算した額に対して交付額は、補助対象工事費の8割を限度とする。