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長生の森などで民活/「呼び込み、とどめる」まちづくり/澤宏幸 県県土整備部 都市整備局長インタビュー

2024/04/26 日刊建設タイムズ

 4月1日付の人事異動で県県土整備部都市整備局長に就任した澤宏幸氏が、日刊建設タイムズの単独インタビューに応じた。千葉に対する強い愛着を胸に、「人を呼び込み、とどまってもらう」ためのまちづくりに注力する。富津公園と蓮沼海浜公園の再整備計画を年度内に策定。八千代広域公園と長生の森公園においても、民間活力の導入を検討していく。2025年度の都市計画区域マスタープラン変更に向けては、5月頃に協議会を設立する。


 ――千葉県への思いは。

 澤 県外に住んだことがなく、就職先も迷わず県庁に決めた。愛着のある千葉に関連する仕事に携わることができて大変嬉しく思っている。これまで、まちづくり関連の仕事に従事してきた。幕張新都心の基盤整備や手賀沼ふれあい緑道の計画など、手掛けた事業が形になっていることを誇りに思っている。


 ――千葉県の印象は。

 澤 半島性が課題だが、東京湾アクアラインがその克服の一端となったほか、県南部地域においても高速道路ネットワークの構築によって解消に向かっている。まちづくりの観点では、いかに人を呼び込むか、とどまってもらうかが重要になっている。


 ――就任に当たっての抱負・展望は。

 澤 県内のまちづくりを進めるに当たり、県施行の事業だけでなく、市町村が行う事業を含めて全体を見渡すことが求められるため、責任の重さに身の引き締まる思い。治水対策や道路ネットワークの充実などのインフラ整備が進む中、都市整備局はそれを生かす役割を担っている。快適な住環境の整備にとどまらず、産業・観光の両面で人を呼び込める魅力的なまちづくりに力を入れていきたい。


 ――仕事において心掛けていることは。

 澤 現場を歩いて見るようにしている。車で通りすぎては、見るべきものを見落としてしまう。また、風通しの良い職場を目指していく。職員に気軽に訪れてもらうことで情報をいち早く得るとともに、打ち合わせの際、次長の同席の下、気付きを確実なものにしていきたい。


 ――市街地整備について。

 澤 つくばエクスプレス沿線の木地区、運動公園周辺地区、柏北部中央地区と、東京湾アクアライン着岸地の金田地区で土地区画整理事業を進めている。23年度に木地区の換地処分がなされ、工事完了に至ったことが自信になった。運動公園周辺地区、柏北部中央地区、金田地区においても、保留地が着実に売れている。この機を逃さず、しっかりと保留地を売却し、基盤整備を進めていくことが使命。


 ――富津公園と蓮沼海浜公園の再整備について。

 澤 富津公園と蓮沼海浜公園については、保安林を活用した遊歩道の整備や民間活力の導入による集客施設の設置など、農林水産部と調整し、地元の意見も聞きながら、年度内に再整備計画を策定する。25年度以降、民間事業者の募集を開始する予定。


 ――そのほかの公園事業は。

 澤 八千代広域公園と長生の森公園の整備と、市野谷の森の緑地保全に取り組む。八千代広域公園と長生の森公園に関しては、今後整備を行うエリアについて、民間活力の導入を検討していく。


 ――都市計画区域マスタープランの変更について。

 澤 全県域の都市計画に関する基本的な考え方を示す都市計画区域マスタープランの25年度の変更に向け、市町村が参加する協議会を5月頃に立ち上げる。新たなマスタープランでは、総合計画と同様に圏域を6つに分け、それぞれ広域のマスタープランを定める。


 ――住宅政策について。

 澤 県営住宅長寿命化計画の期間が18年度から27年度までとなっていることから、社会経済状況の変化を踏まえ、24年度に変更を行う。さらに、住宅や大規模な建物の耐震化の促進に努める。


 ――千葉県まちづくり公社まちづくり情報センターとの連携について。


 澤 まちづくり情報センターは、地域資源を生かしつつ持続可能な活力あるまちづくりを実現するため、市町村のまちづくりや県民参加のまちづくりを支援する機関。強固に連携し、魅力あるまちづくりを加速していきたい。


 ――地元建設業への期待は。

 澤 災害に備えて意見交換を行うなど、しっかりと連携を図りたい。



略歴

 さわ・ひろゆき

 1964年9月16日生まれ。1990年3月東京大学大学院農学系研究科修了。同年4月入庁、企業庁千葉建設事務所に技師として配属。その後、県土整備部において県土整備政策課主幹(柏市派遣)、副技監(日本サッカー協会派遣)、都市整備局公園緑地課長、都市整備局市街地整備課長、次長などを歴任し、4月から現職。

 趣味は食べ歩き。

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