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長野県千曲市

事業者選定は夏ごろ開始/手法はPFIやリース方式軸に/戸倉体育館基本計画案

2024/05/08 長野建設新聞

 千曲市は磯部地区で計画する総合運動公園整備のうち「戸倉体育館エリア」の基本計画案を策定した。戸倉体育館は敷地内で移転改築するとし、2025年度から設計、26年度に着工、28年の国民スポーツ大会までに完成させるスケジュールを示した。事業手法は特定していないが、公民共創推進室は「PFI方式とリース方式を軸に検討している。事業者の選定作業は夏ごろに開始できれば」と話した。

 同エリアにある既存施設の整備方針は①戸倉体育館=敷地内で移転再整備②千曲市サッカー場=現状維持③A・Bグラウンド=敷地内で移転再整備④インドアコート=既存改修⑤マレットゴルフ場=廃止またはエリア外に移転整備⑥レストハウス=廃止(新体育館に機能移転)⑦駐車場=敷地内で再整備。県から指定管理を受けている県民グラウンドとテニスコートは今後整備内容を協議するが、テニスコートは利用率が低いことから、再整備を行わない可能性に言及している。

 エリア内で先行して建設する新戸倉体育館は、A・Bグラウンドおよび名月荘跡地を敷地とし、施設規模は約4000~5000㎡を想定。このうちアリーナ部分はバスケットボール2面を安全に競技できる広さとして1600㎡以上(46m×35m)を確保する。観客席は1000席程度の固定席(ベンチタイプ)に加え、一定数の可動式観客席も検討する。

 災害時には避難所となるため、物資備蓄、非常用電源設備などの機能も確保。ユニバーサルデザインや省エネルギーにも配慮する。耐震安全性は「構造体Ⅱ類、建築非構造部材A類、建築設備乙類」を目標とする。概算事業費は、他の自治体が建設した類似施設の建設単価を参考に㎡当たり58万円を見込む。

 新体育館は28年10月開催の国民スポーツ大会のハンドボール競技会場に予定されており、開業準備期間も含め、これに間に合うよう整備していく。


■野球場は26年度に検討開始

 エリア内のもう一つのメイン施設である多目的野球場は、26年度から規模や仕様、配置の検討を開始する。本案によると現体育館やテニスコートがある場所に整備するイメージで、設計は29~31年度、造成工事は31~32年度、建設工事は32~34年度に予定。整備場所にある現体育館やレストハウスは29~30年度に解体する。

 グラウンドの規格は、高校野球の大会が開催可能な硬式野球・公認野球場の規格を想定。また、ソフトボールやフットサルなど多目的な利用が可能な仕様とする。観客席はスタンド席1000席程度を基準とする。

 県民グラウンドの位置に計画する多目的広場の整備についても、多目的野球場の建設期間内に実施する。

 エリア整備で最後に行う外構やインドアコートの改修は、33~34年度に設計、35年度に工事を行うスケジュールだ。

 事業手法については従来型の公設公営のほか、公設民営によるDB方式(設計・建設一括)、DBO方式(設計・建設・維持管理・運営一括)、民設民営によるPFI方式、リース方式などを示すとともに、維持管理や運営も含むDBO、PFI、リース方式で実施する場合は、経験がない地元企業の受注機会の確保に配慮が必要とした。

 公民共創推進室は「新体育館の整備については、民設民営のPFI方式やリース方式を軸に検討している。また、エリア内に整備する施設の維持管理・運営は一体的に行うことが望ましいと考えている」と話した。

 新体育館整備については、今年2月に事業スキームの検討を行う支援業務をみずほリサーチ&テクノロジーズ(東京)とKRC(長野市)のJVへ委託。業務内容には事業者選定の支援も含んでおり、履行期限である25年8月31日までに事業者を選定することになる。なお、現体育館は2階建て、延べ4037㎡で、1977年に建設された。

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