国土交通省と総務省は全国の都道府県、政令指定都市および市区町村に対して公共工事の入札および契約の適正化、円滑な施工確保に向けた取り組みについて通知した。特に、入札契約情報の公開についてはインターネットを利用する方法を原則化することや、週休2日工事の実施で市町村への働きかけ強化、工期設定での作業不能日の考慮、平準化では繁忙期対応へ新たな指標の設定、工事関係書類では情報共有システム(ASP)を活用した電子化など新たに加わった部分などがポイントとなる。
2023年度にまとめた入札契約調査の結果で、適正化に向けた取り組みが不十分である点があることから、入契法に基づく要請。また、内容については全ての公共工事発注担当部局で取り組むように求めている。
【入札・契約情報の公表】
情報公開が義務付けだが適切に行われていない状況も散見。必要な公表手続きを確実に行うとともに、情報の公表はインターネットの利用を原則とすることが適当であり、近日中に公表方法についての見直し等を改めて要請する。
【働き方改革】
適正な工期の設定として、週休2日工事等を実施していない市区町村が約8割あり、都道府県には市区町村への取り組み改善への働きかけ強化、市区町村には実施に努めることを求めた。
工期に関する基準などを踏まえ、労働者の休日、準備期間、後片付け期間、降雨日や猛暑日などの作業不能日数等を適切に考慮して、適正な工期で発注するよう要請している。
【ピークカット】
平準化指標で平準化率を使っているが、閑散期のみを軸にしたもの。年末~年度末の繁忙期の工事稼働数を年間平均に近づける指標の検討を行っている。今後、適宜情報共有を行う。なお、早ければ25年度からの運用となる可能性がある。
【工事関係書類】
簡素化・IT化等で、直轄土木での工事書類スリム化のポイントの横展開、書類限定検査の原則化などに取り組んでいることを示した上で、ASPを活用した工事書類の原則電子化等、受発注者双方の工事関係書類の業務削減に努めるとした。
【スライド条項】
適切な運用のための運用基準をあらかじめ策定するとともに、基準を受注者・建設企業とあらかじめ共有するよう努めることを要請した。
【地域維持事業】
除雪等の地域維持事業の経費の適切な計上、地域の実情に応じた適切な規模での発注、建設発生土の条件明示、資金調達の円滑化などの適切な対応を求めている。
【調査・設計の円滑実施】
国交省は24年度から調査基準価格の参入率・範囲を改定しており、踏まえた上で必要に応じて改定するなど適切に見直すようにとした。
◎各省庁、特殊法人も/入契適正化と円滑施工
国土交通省と財務省は、各省庁および特殊法人等に向けて、公共工事の入札および契約の適正化、円滑な施工確保に向けた取り組みについて通知した。基本的な内容は都道府県などへの通知と同様となっている。