渋川市は伊香保ロープウェイの見晴駅と不如帰駅の機械室で耐震化工事を計画しており、2028年度の工事発注に向け準備を進めている。伊香保温泉観光施設事業経営戦略の中で計画をまとめたもので、工事費は1億3807万2000円を見込む。実施設計は飯塚設計事務所(渋川市)が担当した。
山麓側の不如帰駅は1962年建築でRC造5階建て、延べ床面積860・32㎡の規模。機械室の床面積は239㎡となる。山頂側の見晴駅は1962年建築、RC造平屋、床面積380・71㎡。耐震化工事の対象となる機械室の床面積は252㎡。各駅機械室の上部鉄骨躯体および一部屋根の改修を予定している。
このほか経営戦略における計画では、大規模修繕工事として支索緊張索の交換工事を2030年度、えい索誘導滑車の更新工事を33年度にそれぞれ予定している。
支索緊張索は支索に一定の張力を与えるためのロープで、支索と重錘(おもり)につながっており、常に支索に張力がかかっている状態のもの。安定した運行を可能とするため、交換することで支索のたるみを抑える。工事費は1188万円。
えい索は、客車を山頂に引き上げるロープで、えい索誘導滑車はえい索を原動滑車から客車本体に接続するために誘導している滑車のこと。23年度には見晴駅機械室内の大小2つの滑車を更新した。33年度の工事費は3047万円。
工事期間中は運休となるため、観光客や経営面での状況を見極めて工事発注を行う方針。
なお、14年に実施した耐震診断から10年経過しており、計画上の内容および工事費用はあくまでの当時の積算によるものであるため、今後大きく変更する可能性がある。
2024年度は、えい索および平衡索切詰工事と支柱吊枠の塗装工事、山頂停留場の風向風速計の更新工事を予定しており、遅くても10月ごろには切詰工事と塗装・更新工事の2件として随意契約で工事を発注する。
ロープウェイは、普通索道として1962年に旧伊香保町の観光開発を推進するために開設した施設で、21人乗りの客車が全長499mを約4分間かけて走行する。山麓に位置する不如帰駅には、2001年に観光案内などを目的とした5階建ての施設を増設、また山頂の見晴駅は2009年に増築工事を行った。