国土交通省が2022年度末から続けてきた浸水被害軽減に向けた地下空間活用のあり方の検討で、提言案が明らかになった。今後の河川地下空間の有効活用に向けて▽河川の地下空間の縦断方向の活用▽河川の地下空間利用のマネジメント▽他事業連携の推進▽河川区域以外の施設とのネットワーク化▽既設構造物に対する安全確保の技術向上▽施工・維持管理も容易な構造▽技術力の伝承―の7つの推進策を示した。具体的なモデル河川を選定し、深度に応じたゾーニングを検討する。
河川地下空間の縦断方向の活用へ、国内外の先行事例について設計における工事の配慮事項や管理手法等の収集、事業効果等の整理し、整備・管理する際の技術的知見を周知。河川管理者としての知見を集積し河川縦断方向の活用を推進すべきとした。
都市部において、道路、鉄道等が地下に整備されているが、整備位置(深さ)などルール化されていないため、後発だと深い位置に整備せざるを得なくなり、整備費・維持費が高くなっている。河川の地下空間利用のマネジメントとして、都市部などさまざまな利用との輻輳が想定され、かつ、河川管理者が治水対策として地下空間の活用を想定する河川について、河川地下空間のゾーニングをモデル河川で検討すべきとしている。
モデル河川は、都市部で地下河川や地下調整池など地下空間活用を想定した具体的な河川を対象とする。モデル選定の時期は確定していないが、地球温暖化などで激甚化・頻発化している大雨などの被害状況を考え、早期に対応していくことが考えられる。
他事業連携では、河川と下水道との連携、河川周辺での地下空間活用。河川沿いは家屋が連坦しており、河川区域外の施設とネットワークしていくため事例を整理。既設構造物の安全確保では、施工時のモニタリング方法、基準などを作成すべき。施工・維持管理に関しては基準類の作成を検討すべきとした。技術力の伝承へは技術研修の実施などを検討すべきとしている。
提言案は28日に開催した地下空間活用勉強会で事務局が示したもの。おおむね了解が得られたため、今回の委員意見などを踏まえ、委員長一任で取りまとめることになった。