国土交通省は29日、3月から議論してきた上下水道地震対策検討委員会の中間とりまとめを発表した。令和6年能登半島地震の被災地向けの部分と、被災地の復旧・復興を踏まえた上下水道全般の地震対策、災害対応に言及している。
能登半島地震では、耐震化していた施設でおおむね機能が確保できていたが、耐震化未実施の基幹施設等で被害が生じ、広範囲での断水や下水管内の滞水が発生。復旧の長期化を生じさせた。災害に強く持続可能な上下水道システムの構築に向け、上下水道の地震対策を強化・加速化するため、関係者一丸となって推進すべき取り組みをまとめた。
今後は8月ごろに次回委員会を開催して最終とりまとめを行う予定。
中間とりまとめの主な概要は次の通り。
【被災市町での整備の方向性】
▽復興まちづくりや住民の意向等を踏まえつつ、分散型システム活用も含めた災害に強く持続可能な将来にふさわしい整備
▽代替性・多重性の確保と、事業の効率性向上とのバランスを図ったシステム構築
▽台帳のデジタル化や施設の遠隔監視などのDXの推進
【今後の地震対策】
▽上下水道システムの「急所」となる施設の耐震化
▽避難所など重要施設に係る上下水道管路の一体的な耐震化
▽地すべりなどの地盤変状のおそれのある箇所を避けた施設配置
▽マンホールの浮上防止対策・接続部対策
【上下水道一体の災害対応】
▽国が上下水道一体の全体調整を行い、プッシュ型で復旧支援する体制の構築
▽処理場等の防災拠点化による支援拠点の確保
▽機能確保優先とした上下水道一体での早期復旧フローの構築
▽点検調査技術や復旧工法の技術開発
▽DXを活用した効率的な災害対応
▽宅内配管や汚水溢水などの被害・対応状況の早期把握、迅速な復旧方法・体制の構築