県上都賀農業振興事務所は、県営農地整備事業の千渡地区(鹿沼市千渡、白桑田、深津)の工事に着手する。着工するのは最下流の圃整工で面積約13ha。4件に分割し、6月中に総合評価落札方式の条件付き一般競争入札を公告する方針。今年度事業費は3億7800万円。地区全体の圃整工面積は58・7ha。事業期間は2022~29年度。総事業費は13億7700万円。隣接する武子川は県土整備部が河川改修を実施。地区内に取水している檜堰、山下堰、天神堰、五斗蒔堰、白桑田堰と田中堰、栗木内堰の7堰のうち5堰以上の改築が見込まれている。
事業区域は国道293号仁神堂橋下流の山下堰付近からJR日光線上流までの南北に細長い延長約4㎞の農地。水田主体の土地利用で畑地は2・7ha。
今年度の圃整工は下流から1工区3・54ha、2工区3・06ha、3工区2・93ha、4工区3・72haを予定。発注規模はいずれも5000万円以上1億円未満。
事業区間の排水樋管は一部を統合し10カ所程度に集約する。堰の改築や排水樋管の築造は県土整備部が河川改修に併せて実施。河川改修までに必要となる仮設の排水樋管設置は農政部が担当。今年度の圃整工には2カ所の仮設排水樋管工事を含め発注する予定。
圃整工実施設計は第一測工が担当。今年度の工事に必要な変更実施設計は今冬に委託。25年度に計画する圃整工約20haの実施設計は8月頃に委託する考え。
現在の千渡地区の農地は標準20㌃で狭く不整形。道路も狭く、用水路と排水路は兼用の土水路。排水不良の水田が広がり、水稲以外の作物選択性が限られている。今後、水稲と露地野菜を中心とした土地利用型農業を展開するため、水田の大区画化と汎用化に対応した生産基盤を整備する。
新たな圃場の標準区画は50㌃。鹿沼環状線付近の両岸の幅が広い区域の一部は1haの区画とする計画。幅広畦畔や排水路の一部暗渠化、自動給水栓設置などスマート農業に対応する。
当初の計画事業量は整地工58・7ha(工事費約2億1200万円)、道路工9・9㎞(1億4300万円)、用水路工10・7㎞(2億8300万円)、排水路工9・9㎞(3億2600万円)、排水施設6カ所(5300万円)、暗渠排水工56ha(1億6900万円)。測量試験費は1億9100万円(換地費約1億4000万円)を見込んでいる。
コンクリート水路の標準断面は幹線用水路が幅800~1500㎜×高さ800~900㎜。小用水路は幅300~500㎜×高さ300~500㎜。
排水路は幅400~1500㎜×高さ400㎜~900㎜。暗渠排水工はφ75~150の高密度ポリエチレン管を埋設する予定。石積みワンド工、魚道落差工、水路横断施設工など環境保全水路を適宜配置する。
道路は標準幅員5m。幅4mの敷砂利舗装(厚さ100㎜)を実施する。
武子川の河川改修後の標準断面計画は幅約30m。農地整備事業で河川改修用地12・3haを創出する計画。千渡地区に関連する堰のうち主要地方道宇都宮鹿沼線より上流の檜堰と山下堰、天神堰と五斗蒔堰は県土整備部が河川改修の詳細設計で2堰への統廃合を検討中。
宇都宮鹿沼線より下流の白桑田堰(見野和堰)と田中堰、栗木内堰はそれぞれ現在地付近で改築が予定されている。