参議院国土交通委員会は6日、全会一致で「建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律案」を採択。続けて11項目からなる付帯決議案も全会一致で委員会決議となった。 付帯決議の概要は次の通り。
1、建設技能者の賃金水準の向上へ実態把握、労務費に関する基準の適切設定に努める。下請け事業者まで適正な労務費が確保できるよう、民間発注者の理解へ積極的に働きかけ。建設業者による材料費等記載見積書、労務費に関する基準の活用を促進すること。
2、建設技能者への適切な賃金支払いをデジタル技術活用などで確認する仕組みを検討。建設技能者の賃金水準は可及的速やかに全産業平均並みへの引き上げを達成。全産業を上回る賃金上昇率も可能な限り前倒しで達成できるよう必要措置を講じること。
3、建設業者による労務費等の内訳明示、請負代金額等に影響を及ぼすリスク情報の通知といった新たな制度の取り組みが進むよう、発注者から下請け事業者まで理解しやすく制度を周知。雛形やガイドラインの策定等で円滑に導入できる環境を整えること。
4、注文者の地位の優越で建設業者が価格高騰等に伴う不利益、リスクを一方的に被ることがないよう、独占禁止法に基づく適切な措置と実効性のある対策を講じること。
5、建設Gメンの機能や体制を一層強化。国土交通省のほか、公正取引委員会、厚生労働省、中小企業庁の関係機関一丸で監視や指導を徹底。指導等の対象行為は、受発注者に事例等を示し、取引適正化の実効性を担保すること。
6、労働者の知識・技能等を公正に評価し適正賃金の支払いが実現するよう、講じられた措置の実態を広く把握した上で公表。必要に応じて建設業者を指導するとともに、CCUSの就業履歴、能力評価判定を推進する必要な措置を講じること。
7、週休2日を確保できる工期設定が民間工事でも実現されるよう、下請事業者の実態や契約変更を含む建設工事の請負契約の締結状況を十分に調査。結果を踏まえ工期に関する基準のあり方の見直しなど必要な措置を講じること。特に後工程を担う設備工事業等にしわ寄せがおよびやすい実態に鑑み、前工程で工程遅延が発生し、適正工期が確保できない場合は、当事者が対等な立場で工期や請負代金額の変更協議できる必要な対策を講じること。
合わせて週休2日の確保が賃金に与える影響を把握し、収入減少にならないよう必要な取り組みに努めること。
8、適正な工期や請負代金額の設定で、工期の長期化、費用の負担増が生じ得ることは、産業界、労働会の実務者の意見を広く聴取し、国民全体の理解を得る取り組みを推進すること。
9、技術者の選任要件は、適切な施工確保を前提に、技術の進展や関係団体の意見も踏まえ、必要に応じて見直しを行うこと。
10、3K職場のイメージを払拭、若者から選ばれる産業へICT活用など、長時間労働の是正、働き方改革に必要な取り組みの一層の強化を官民一体で進めること。
11、外国人労働者も含め全ての労働者の賃金水準が適正なものとなるよう努め、建設業における外国人労働者の増加が業界全体の賃金水準の底上げに影響を及ばさないようにすること。
斉藤鉄夫国土交通大臣は、法案の全会一致での可決に感謝。施行にあたっては、委員会審議での意見、付帯決議で提起された事項の趣旨を十分に尊重していくと話している。