国土交通省は、国土技術政策総合研究所がまとめた「インフラ分野における建設時のGHG排出量算定マニュアル案」を受け、対象を抽出中のマニュアルの試行と排出原単位のデータ整備などに取り組む。脱炭素技術による効果が適切に評価される仕組みを構築することで、建設施工に関する脱炭素化を目指す。基本的に排出量は、活動量×排出原単位で算出する。
マニュアル案は、工事に関するCO2排出量の算定に向けたもの。現場内で出てきたCO2、その現場で利用した資機材などの製造時にかかったCO2をトータルで、どのくらい排出しているか算定をするためのルールになるもの。また、排出量だけではなく削減量も算出できるようになっている。
排出量は活動量×排出原単位で算出。例えば、排出原単位は軽油1リットルからCO2がどれだけ出るのか。活動量は軽油を何リットル使ったか。掛け算すれば排出量が出る。材料の場合は、使用量が活動量、排出原単位はその材料を製造するのにかかったCO2排出量。排出原単位のデータベースができれば将来的には工法ごとの算出も可能になる。
算定対象は、実際の現場で対応可能な範囲とし、影響が少ないものなどは当面除外する。算定対象範囲を見ると、建機の稼働で燃料、電力は対象。現場工事事務所の電力は入らない。購入したサービス材料の製造は対象だが、資本材は対象外など範囲を定めている。
算定手法は、積算資料から活動量を抽出し、排出原単位を掛け合わせる。排出削減量は標準排出量から脱炭素技術適用後排出量を引いて計算する。
マニュアルの試行については、工事のCO2の算定に中・小業者が対応できるのか、大手は今まで算定していたやり方と大きな差異がないかなど、大きい工事、小さい工事を含めて試行したいという。少なくとも8地方整備局、北海道開発局管内で1カ所ずつ。現在稼働していて年末ごろまでに終了する工事現場を対象にしたいと考えている。