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【カーボンニュートラル】試行工事の対象拡大/低炭素型コンクリート

2024/06/18 本社配信

 国土交通省は直轄土木工事のカーボンニュートラル(CN)の取り組みで、建設機械からの排出削減、セメントの主要な利用先となるコンクリートでの排出削減を進める。これらを含めた建設施工分野全体でCO2排出削減効果を適正に評価することを目指す。特に、コンクリートに関してはセメント使用量を減らし置換材を用いた低炭素型について、対象と工種を拡大して試行工事を実施していく。これらの取り組みを進めることで、CNの技術開発・実装をリードする。

 建設機械からの排出削減は、電動建設機械(GX建機)の認定制度を2023年度に創設。5月時点で16機種が認定を受けており、今後も認定対象の拡大を検討する。また、GX建機等の購入に関しては経費に一部を補助する環境省の制度が24年度にスタートした。

 コンクリートの排出削減は、低炭素型コンクリートを22、23年度に合わせて28件の試行工事を実施。またCO2固定化コンクリートの試行工事も3件行っている。

 コンクリートのCO2排出のほぼ9割方はセメント由来。そこで低炭素型コンクリートは、材料となるセメントの一部を製鉄所からの副産物・高炉スラグ微粉末に置き換えるもの。これまでプレキャスト(2次製品)でしか対象となっていなかった。工場内で作って試験を経て出荷するため、構造、強度を試験で担保しているため取り組んできた。高炉スラグの置換率は55%以上。

 24年度からは、置換材は高炉スラグ以外も可能とし、火力発電所からのフライアッシュ、火山灰のシラスなどを加える。CO2削減効果が高炉スラグ微粉末55%以上置換と同等であれば可能とした。対象工種も現場打ちも対象に加え制限をなくした。試行工事は件数、施工ボリュームのどちらを目標にするのかなど、地域業者の意見を聞きながら検討する。

 なお、建設工事での排出量削減を統一的に算定するため対象範囲、方法を定めたマニュアルはできている。今後は算定するための排出原単位データベース整備の検討に着手する。

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