仮設機材メーカーの日綜産業(東京都中央区、小野大代表取締役社長)は21日、千曲市の急傾斜地崩壊対策工事現場において法面作業構台「マルチアングル工法」の見学会を開催した。施工者は日本綜合建設(長野市)で、北陽建設(大町市)が崩落土砂防止柵工の一次下請けを担当している。
現場は県千曲建設事務所発注の「令和5年度交付金急傾斜地崩壊対策工事」(妻女台、千曲市土口)。工事概要は崩壊土砂防止柵工L84m、支柱高さH4.1~4.4m×N36本。
同工法はアンカー工事やボーリング工事での機械構台、乗り入れ構台用として使用するユニット足場。固定部材をシステム化しているのが特長で、番線・クランプを必要とせず、ハンマー1本で組み立て・解体が可能。振動によるクサビの緩みも発生しない。在来工法に比べ施工期間を格段に短縮でき、安全性も高く、熟練の技能を必要としないことも大きな利点。日本綜合建設の藤巻淨土木課長は「組み立てやすさ、期間短縮の効果を実感した」と評価した。
日綜産業の大久保工広報室長は「この現場はマルチアングル工法100t、構台サイズ約2400空m3と、県内では今年最大級」と紹介。長野営業所の井坂定雄所長は「県内での採用事例はこれまでに50~60カ所。NETISの活用促進技術に選定されており、2022年度に県の新技術・新工法にも提案している」と話した。
生産性向上と省力化につながる新技術。日綜産業は同工法のさらなる普及へ意欲を見せている。