鹿行南部地域における新たな路線「(仮称)鹿行南部道路」の基本方針が24日、明らかになった。東関東自動車道水戸線潮来IC周辺から鹿島臨海工業地帯波崎地区工業団地周辺までをつなぐ路線を想定。整備により、鹿島臨海工業地帯発着の渋滞緩和や鹿島港北公共埠頭周辺へのアクセス強化を図る。新規事業化に向け、2025年度にかけて概略ルート・構造の検討を進めていく考え。
国土交通省、県、鹿嶋市、潮来市、神栖市および東日本高速道路からなる「(仮称)鹿行南部道路検討委員会」では、起終点を東関道水戸線潮来IC周辺から波崎地区工業団地周辺とする。事業主体については現時点で未定となっている。
ルートや構造の検討に際しては、東関道水戸線および鹿島港北公共埠頭周辺へのアクセス機能を考慮。地域の分断や自然環境に配慮しつつ、地域産業に資する土地利用の促進を図っていく。
整備効果としては、鹿島港と高速道路ネットワークの直結による港湾の産業・物流拠点としての発展や首都圏・北関東方面への物流強化、経済成長が見込まれる。また、カーボンニュートラルポートの形成に向けた企業活動の脱炭素化、養生風力関連企業の立地促進が期待できる。
さらに、渋滞緩和にも寄与する。現状では鹿島臨海工業地帯や渡河部において、生活交通および物流関係車両の集中により渋滞が発生している。サッカー試合時においては県立カシマサッカースタジアム~潮来IC間の交通集中が課題となっており、交通分散により所要時間短縮につながる見込みだ。
防災の観点からは、津波浸水想定区域を回避することにより、緊急輸送ルートの確保が可能となる。鹿島港は耐震強化岸壁の完成に伴い、災害時における緊急物資輸送拠点としての機能が期待されている。
鹿行南部地域の土地利用状況に関しては、沿岸部に工業系の用途があり、隣接するエリアに住居系の地域が集積している。河川については鰐川、常陸利根川および利根川が位置しており、渡河部は限定的。東関東自動車道、国道51号、国道124号および県道水戸神栖線が主要路線となっている。
今後の進め方については、関係機関が連携しつつ概略計画を検討。地域とのコミュニケーションも積極的に行っていく方針。
【(仮称)鹿行南部道路ルート案】