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三菱ガス化学が下水道消化ガスからメタノール製造開始

2024/06/26 新潟建設新聞

 三菱ガス化学(藤井政志社長、東京都千代田区)は、国内で初めて下水道の処理過程で発生する消化ガスを活用したバイオメタノールの製造を開始した。新潟市北区の新井郷川浄化センターで発生した未利用消化ガスを同区内の新潟工場へ輸送してバイオメタノールを製造する。製造開始に伴い20日には、花角英世知事をはじめ、新潟県関係者を招いてお披露目会が行われた。

 同社と新潟県は、昨年6月に消化ガス売却に関する基本協定を締結しており、新井郷川浄化センター内に消化ガス精製、出荷設備やISOコンテナ通行用道路を整備。同社新潟工場内には受け入れ設備としてガスホルダーや配管を新設。出荷設備、受入設備ともに施工は、MGCアドバンスが担当している。

 このほど新井郷川浄化センターの消化ガスで、持続可能な製品の国際的な認証制度の一つであるISCC PLUSの認証を取得。消化ガスから製造したバイオメタノールが認証品として提供され、化学品原料、燃料、水素原料など幅広い用途に活用される。

 お披露目会で、花角英世新潟県知事は「新潟の資源を使って循環型社会、脱炭素社会の実現に大きな一歩を記す事業。新潟の地で始まったことはうれしい限り。さらに新潟の地域資源を使った新たな事業が生まれることを祈念する」と期待した。

 三菱ガス化学の藤井正志社長は「新潟にある地下資源を利用させていただき70年間、地下資源や人に恵まれてきた。新潟へ貢献、恩返ししなければいけない。消化ガス活用は、きっかけとなるもの。さらに規模を県全体に広げ、カーボンニュートラルをリードする県となるようサポートしていきたい」とした。

 新井郷川浄化センターで発生する消化ガスは、自家消費の発電等に利用されているものの、約2割が未利用のまま焼却処分されていた。脱炭素社会実現への取り組みとして県が公募した消化ガスの売却先に同者を選定。約1割を三菱ガス化学が購入し、バイオメタノールの製造に充てる。新井郷川浄化センター以外でも、県が管理する処理場で発生する消化ガスは、約1~2割が未利用となっており、県では民間事業者との対話を行いながら、活用の可能性を探る。

【写真=三菱ガス化学の受入れタンク、藤井社長(左)が花角知事に記念品贈呈】

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