宇都宮市は26日、盛土規制法に基づく基礎調査結果と規制区域案を公表。市全域を宅地造成等工事規制区域に指定し隙間なく規制する。技術基準や罰則を強化。市民の安全性を確保するとともに実効性のある罰則措置を講じる。運用開始に向け関係団体の周知を進めており10月1日の規制区域指定を予定。併せて土砂条例など関連する条例の改正を進めていく。
規制範囲・対象は宅地・農地・森林等全ての用途に拡大。高さ2mを超える盛土、土石の一時堆積などにも規制をかける。技術基準には地下排水施設の設置や中間検査の実施などを追加した。
罰則はこれまで懲役1年以下罰金50万円以下だったものを3年以下1000万円以下に強化。法人重科は3億円以下に設定した。
法改正に伴い許可申請手続きを厳格化。申請前は土地所有者全員の同意を得なければならず周辺住民への事前周知を徹底。申請書には資力信用や工事施工者能力が分かる書類を添付させる。
申請者の氏名と所在地を公表。工事着手時は現場での標識設置を義務付け、規模の大きいものは定期報告や中間検査を実施する。
基礎調査は地形や人家・道路分布状況、災害危険区域など既存データを収集。宅地造成等工事規制区域の指定が必要なエリアを抽出した。
規制区域からの除外エリアを検討した結果、市全域に土砂が運ばれる可能性があることから除外エリアなしと結論付けた。
市街地や集落から離れているものの地形等条件から盛土が行われた場合に人家等に危害を及ぼしうる特定盛土等規制区域はなかった。
盛土規制法は21年7月に静岡県熱海市で発生した土石流災害を受け、危険な盛土などを全国一律の基準で包括的に規制。既存法の宅地造成等規制法(宅造法)を改正した。経過措置期間の25年5月までに各自治体で規制区域指定を行う必要がある。