国土交通省は技術提案評価型総合評価の発注（S型）について、技術提案がしやすいよう「技術向上提案」を求めるSⅠ型の試行を2025年度に開始する。公共工事品確法ではVFM（Value For Money）について記載があり、経済性に配慮しつつ「総合的に価値の最も高い資材等」を採用するなどとされている。なお、提案採用にかかる契約変更額は予定価格の5％を上限に当面行う。

　現在のS型は、発注者が仕様を確定しており、提案技術の費用なども入札価格に含まれるため発展的な提案がしにくい。また、仮設や工法の変更が認められていないため品質向上、効率化、安全性、環境等での技術提案が難しいとされる。

　そのため、仕様を確定できる工事でも、一定の仕様変更を伴う提案を認め、品質向上等の効果（便益）を一定の範囲内で費用計上できる仕組みについて検討してきた。

　SⅠ型は、発注者が標準的な仕様案を設定できるが、競争参加者の技術提案に基づく仕様や工法の変更で、総合的に価値の最も高い資材等の採用を含む品質向上が期待される工事を対象とする。

　品質向上が期待できる事項は技術向上提案を求める。提案内容は当初契約時の仕様には反映せず、発注者指示により変更契約の対象とする。

　試行対象はS型で発注していた工事のうち、比較的難易度が高い、一定の不確実性が考えられる工事を想定。実際のテーマ設定はより具体化が必要とされる。

　また、導入コストで普及が進みにくい省人化の新技術・工法や脱炭素関係の資材活用など、推進すべき政策課題への取り組みも対象になる。トンネル、橋梁、ダムなど比較的大規模工事を想定する。

　年度内は試行に向けた検討を進め、25年度に試行開始。従来のS型ではできなかった仕様変更などの提案が品質向上などにつながったか、価値の最も高い資材等の導入が可能となったか、事務手続き負担が軽減されたかなど確認する。