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労働時間減が事故へ 飯塚工業の飯塚社長

2024/07/06 山梨建設新聞

 5月26日に開催した飯塚工業(笛吹市)の安全大会で飯塚潤社長は、働き方改革により現場での事故の危険性が高まる可能性があると訴えた。労働時間を減らすことと事業を成り立たせることの両立を考えた場合、短時間に多くの人を現場に投入せざるを得ず、事故の確率は高まると強調。技術者の負担増も懸念しており、事務負担軽減などを目的とした「建設ディレクター」についても紹介した。発言の詳細を掲載する。

 去年から安全衛生大会を開催しているが、その発端となったのが何年も前から聞くようになった「2024年の働き方改革」。労働基準監督署によれば、数字上労災は減っているのかもしれない。しかしわれわれ建設業は土日は休め、残業時間は削れと、現場で働いている時間が極端に減っているのは間違いない。時間が足りないので人を短時間に多く入れなければならないとなれば、事故の確率は増える。慌てる気持ちが出てくる。では発注者は(改革に企業が対応できるよう)公共事業を伸ばしているか、積算を上げているかと言えば、そこまで追いついていない。全産業に全てを当てはめることに無理がある。このままの状態で働き方改革が進めば現場の事故は増えるかもしれない。いずれそれは数字に出てくるだろうと予測している。

 現場の技術者たちは今多重な責任を負いながら現場運営をしているなと感じる。他の産業にはない重責の中で日々やってくれている。弊社では「建設ディレクター」(ITとコミュニケーションスキルで現場を支援する職務)を採用した。弊社では女性が総務・経理をやっているが、その数字に強いという特性を生かし、現場の技術者をバックアップする。そうすることで技術者の環境を改善していこうと。働いている人から、「この業界いいよ」という声が出ない限り、根本的な所は全く変わらない。今働いている人の満足する環境を作り出すことが、この会社でいえば私の役目だ。こういった場(安全大会)を設け皆さんの声を聞く。こんな事できるんじゃないか、あんな事できるんじゃないかと少しづつ変えていけば、建設業の行く先は明るいと感じている。

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