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長野県長野市,(一社)長野市建設業協会

予算確保や担い手対策/荻原市長へ要望

2024/07/12 長野建設新聞

 長野市建設業協会(川浦俊樹会長)は10日に長野市役所を訪れ、公共事業予算の確保や担い手不足改善策の実施など4項目からなる要望書を荻原健司市長へ提出した。

 協会からは川浦会長と副会長3人が出席。市議会の若林祥建設企業委員長、箱山正一議員、西脇かおる議員も同席した。市側は荻原市長をはじめ、西澤雅樹副市長、卯田圭吾財政部長、横田典久建設部長が応対した。

 川浦会長は公共事業予算について「2022年度決算額で一般会計における投資的経費の割合が8.5%となり、初めて1桁台に落ち込んだ。東日本台風災害を経験した長野市には、さらなる国土強靱化が不可欠。本年度は公共施設長寿命化や災害に強いまちづくりなどを推進するとし、前年度を上回る予算を計上されたが、今後も持続的・安定的な確保をお願いしたい」と要望。

 また、担い手不足の改善に向けて独自の施策を立案し「長野市モデル」として取り組むよう提案。働き方改革につながる建設DXの推進も要望し、具体的に電子契約と電子保証の早期導入を求めた。

 さらに、市発注工事の平均落札率(22年度は93.5%)が県および県内19市に比べ2ポイント程低いことや、22年度に低入札価格調査基準価格の「中央公契連モデル」が改正されたことを踏まえ、最低制限価格の算定方法を見直すよう求めた。

 荻原市長は「2024年問題、人手不足、物価高騰など、建設業界は課題が山積している。災害対応や除雪を含め、皆さんの力添えによりまちの暮らしが保たれている。行政としても持続可能な建設業をつくるため、できる限りのことをやっていきたい」と応じた。

 卯田財政部長は「市民の安全・安心のための公共事業予算は今後もしっかりと確保していく。建設DXについては本年度に入札参加資格の電子申請化を行い、その後、物品入札の電子入札化を予定している。電子契約については全庁に跨る調整が必要であり、他団体の方法も見ながら前向きに検討を進める。電子保証についても電子契約と併せて検討する」と回答。

 最低制限価格の見直しについては「中央公契連モデルの設定範囲が予定価格の75~92%であるのに対し、当市は89.5~94.5%と高く設定している。また現状、最低制限価格を下回る応札が一定数あり、ダンピング対策として機能している。今後も国や県の動向を注視していく」と述べるにとどめた。

 横田建設部長は担い手不足の改善策に関して、「本年度から原則全ての工事を発注者指定型の週休2日工事としており、情報共有システムも導入した。また快適トイレについて、秋以降の発注工事で、規模や工期を勘案した上、試験的に積算上に反映していく。独自施策については協会と一緒に考えていきたい。積極的に提案してほしい」と伝えた。

 鹿熊聡副会長は「若者の採用が本当に難しくなっている。都市部との賃金格差、また地域の中でも他産業との競争があり、土木建築を学んだ学生でも建設業に来てくれない。休みと賃金の改善につながるような『長野市モデル』を構築してほしい」と期待。

 小山田雄治副会長は「土木を担当している身として、書類簡素化の取り組みが遅れていると感じる。竣工検査時の書類が県に比べ膨大。下位ランク企業にも配慮しながら、情報共有システムとともに、電子納品の取り組みを進めていただきたい。現場代理人の負担の軽減、働き方改革にも直結する」と求めた。

 徳武信行副会長は「要望の中には、毎回お願いしているものもあれば、新たな課題に対するものもある。これからも課題はさまざま出てくる。ぜひスピード感を持って取り組んでいただきたい」と訴えた。

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