国土交通省は都道府県、政令指定都市における工事書類の簡素化・電子化の取り組み状況をまとめた。簡素化・適正化、標準化は66団体が実施しており、要領・マニュアルを50団体が運用・公表している。情報共有システム(ASP)も65団体が導入済みとなっている一方、導入に伴い書類を見直したのは3分の1程度にとどまっている。導入にあたっては、システム改修などの環境整備といった課題も各団体から挙がっている。
簡素化・電子化は、ほとんどの団体で取り組んでおり、約75%の団体が要領を作成・公表している。ただ、書類限定検査については11団体の実施にとどまっている。ASPに関してもほとんどの団体が導入済み。費用計上については、国の積算と同様に全額相当分を率計上しているのが43団体でほとんど。営繕工事では積み上げ計上で全額負担が6団体。県がASPベンダーと年間契約が2団体、山間部等の通信環境整備に伴う費用を積み上げ計上しているなど。
ASP導入は、組織内のデジタル化・業務効率化を導入理由に挙げた団体が多い。メリットは、受注者の移動時間削減や書類の作成・確認・管理の効率化が多い。一方、導入にあたっては、システム改修等の環境整備や受注者側の人材育成に課題がある。なお、全国建設業協会など全国規模の受注者団体からの要望も強く、導入に向けての具体検討が望まれている。
工事書類の簡素化については、第3次担い手3法に関連し、品確法等改正で発注者には「発注関係事務におけるICT技術の活用」、建業法等改正による入契法改正で受注者に「公共発注者への施工体制台帳の提出義務を合理化(ICT活用で確認できれば提出は不要)」などが位置付けられている。
ちょこっと補足
工事関係書類に関しては、CCUSを活用した施工体制台帳の簡素化がある。北海道の建設工事では、施工体制台帳を任意様式としており、CCUSからの出力様式が使用できる。なお、CCUSの改修も行われ全項目が記載された施工体制台帳などの安全書類が出力できるようになっている。同じような入力項目であれば、一度入力した内容を他の書類で活用できれば、大きく効率化が図れることになる。