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【上下水道】年度内にDXカタログ/今後5年で標準装備掲げる

2024/07/09 本社配信

 岸田文雄内閣総理大臣は8日、愛知県豊田市上下水道局での視察を受け、上下水道DX技術のカタログを24年度中に策定したいと語るとともに、今後5年程度で標準装備を進めていきたいとの考えを示した。さらに、重要施設の関係する管路の耐震化緊急点検を10月までに完了させるとともに、年度内に全自治体での上下水道耐震化計画の策定更新を進めると明らかにした。また、矢作ダムも視察した。

 豊田市では、インフラ老朽化、人手不足などが社会課題となる中で、人工衛星とAI(人工知能)を活用し水道管の維持管理を実現する取り組みの説明を受けた。これまで徒歩で網羅的に行っていた漏水調査を、デジタルの力で時間と費用を10分の1に効率化させる取り組み。

 2023年のDigi田(デジでん)甲子園で最も高く評価され優勝したもの。同システムを導入すれば、メンテナンスの効率化を抜本的に向上させることが可能となる上、下水道DX技術のカタログを24年度中に策定したい、今後5年程度で標準装備を進めていきたいと語った。


◎10月までに緊急点検

◎実施対象は重要管路


 能登半島地震での経験から上下水道システムの急所、機能を失うとシステム全体が機能を失う最重要施設、さらには避難所等の重要施設に関する管路等の耐震化状況の緊急点検を開始し、10月までに完了させる。また、現状7割にとどまっている水道の耐震化計画についても、上下水道行政の国土交通省への一元化を機に年度内に全自治体で上下水道耐震化計画の策定更新を進めていく。


◎25年度に総合共有

◎観測と予測データ


 矢作ダムを含む矢作川水系では、官民連携で、流域治水、水力エネルギー活用、流域環境の取り組みが総合的に進められている。これまで流域全体で流域治水を進めてきたが「今後は矢作川水系の取り組みを全国展開し、PPPなどの官民連携でAIやデジタルを活用、流域総合水管理を深化させていく」と話し、「平常時、洪水時を通じ、流域単位で観測データと予測データの総合的共有を25年度中に実現するため、25年度予算に反映していく」。加えて、全国109一級水系で、災害リスクの最小化、水力エネルギーの最大化、豊かな環境の最大化へ総合的に取り組む考えを示し「水力エネルギー増強の議論を本年度中をめどに見直すエネルギー基本計画の中で進めていく」とした。

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