山梨県建設コンサルタンツ協会の新しい会長に石井敬康氏が就任した。人口減少に伴い担い手不足が今後懸念される中、建設コンサルタント業が持つ重要性や魅力を広く訴えながら、知名度の向上に力を入れていく。協会として取り組む必要がある災害対応力や技術力の向上、建設産業で進めるDXにおける課題や問題点などについて、石井新会長に話を聞いた。
―会長就任の抱負は
石井 当協会は諸先輩方のご努力により、近年は山梨県をはじめ各市町村より多くの委託を受けて業務を行っている。しかし一般の県民にとっては、建設コンサルタント業が進めている仕事のイメージや知名度は低く感じている。関係者だけが分かる仕事ではなく、業種が持つ重要性を強く訴えながら、建産連においても認知度を上げることに注力したい。
今後は人口が減っていく中、業界の担い手不足は大きな課題。私たちの技術を未来につなげていくために業種の魅力を広く伝えて、多くの方に業界を知ってもらえるよう任期の中で進めたい。
―コンサルタント業の魅力について
石井 立場上、発注者から事業を進める際の相談を受ける場面も多い。発注者と利害関係者の間に立ち、専門性を持って関わる重要な役割を担っている。地域の歴史を把握しながら未来に社会インフラをつなげていく仕事であり、そのことを継続していくためにも、新たな仲間を増やすことが重要となる。
私たちの仕事は公共インフラを支えるという責任ある仕事と認識している。直接的に地域の方々の生活や暮らしを守るという仕事は、やりがいや誇り、魅力は大いにあるはず。これからの業界を担う技術者たちには、専門的な深い部分と広い知識を持つことの必要性を伝えたい。
―協会としての取り組みや課題は
石井 計画から設計、評価に至るまで専門分野が多数あり、広く継続的に技術力を高める必要がある。2019年に県内を襲った台風19号の際は被災件数が約150件近く一気に発生し、限られた時間内で仕事をこなしていく必要があった。今後発生する災害に対応できるようにするためにも山梨県と連携し、いかにコンパクトに災害復旧図書を作成するかについて検討して行くとともに、そうした災害復旧に関する知識を持つ技術者の育成にも協会として取り組みたい。
また、建設産業で進めているi-Constructionの取り組みでは、建設コンサルタント企業において、三次元化やICTを生かした技術の恩恵を強く感じるに至っていない。建設コンサルタント業の業務の重要な部分は、現場の状況を収集し、どのように課題を解決するかを「検討」することにある。この「検討」の部分にどうやって新しい技術を取り入れて効率化していくかを形にしないと、人手不足となる次の時代を乗り越えていけない。異分野の方々とも積極的に交流・連携し、DXにつながる新しい方法を使えるようにすることが、業界の大きなテーマとなる。
―趣味や座右の銘について
石井 家族が増えたタイミングで会長に就任したことに、今の時代を考えた組織運営を考える上で必然性を感じている。子供の成長を見るのはとても楽しい。仕事だけでなく、子育てなどの日常もより良くなるような働き方を実現する事が、ひいては業界の発展につながると考えるようになった。このほか、音楽など芸術に触れることで心身を整えている。
好きな言葉は「感動は心のごちそう」。感動することを大事にし、いろんな文化を見聞し知識を吸収している。このほか「用無きものに用有り」を心に、何事もチャレンジ精神を持って関わりたい。
【略歴】
石井敬康(いしい・たかやす) 1972年5月生まれの52歳。ハヤテ・コンサルタント代表取締役社長。