宇都宮市は17日、次期ごみ処理施設の建設地を「クリーンパーク茂原敷地内」(茂原町777-1)に決定した。2024~25年度の基本計画策定と並行し、官民連携のPPP手法等導入可能性調査を委託。25年度は地質・測量調査、25~28年度は環境影響評価期間。DBまたはDBO方式の場合は26年度に基本設計、27~28年度で発注仕様書作成と事業者を選定。DBOまたはPFI方式ならば26~28年度で発注仕様書作成と事業者選定となる。29~33年度で新施設を建設。33年度の稼働開始を目指す。
市は3月、一般廃棄物処理施設整備基本構想を策定した。クリーンパーク茂原は供用開始から23年が経過。安定的なごみ処理やカーボンニュートラルの推進に資する新施設に求める性能や規模の基本的事項を整理。条件に合致する同一敷地内を選定した。
前提条件は市北部に立地する「クリーンセンター下田原」との2工場による可燃ごみ焼却処理体制を維持。新施設用地は市南部とする。既存のクリーンセンター茂原と同等の建築面積7000平方mを確保でき、交通利便性や周辺環境への影響が少ない場所を検討した。
新施設の年間処理量は8万3046~8万5733㌧。33年度の1日当たりのごみ処理量は310~320㌧と推計。災害の際に出る廃棄物処理量を5~10%加算する。結果、日量の処理能力は330~370㌧に設定。基本計画で最終的な施設規模を導く。
新施設に求める基本的性能は①安全性、安定稼働性、維持管理の効率性②環境負荷の低減、最終処分量の削減③資源循環・エネルギー回収④強靭化、災害廃棄物の処理、自立分散型⑤環境学習の場と機会の提供。事業主体は市で、上三川町を含めた広域処理となる。
プラントは設備の自動化、効率的なシステムや機器の採用、公害防止条例の順守と防爆対策、処分場の負荷軽減、環境保全性、火災に強い設備構造や材質、災害に強い廃棄物処理システム、自立電源を確保。建築設備は配置バランス、省エネや創エネ技術を導入する。
処理方法は現行の「ストーカ式焼却炉+灰溶融」を含め、過去10年間に国内で建設実績がある6方式から絞り込んでいく。環境保全計画は周辺への影響を考慮の上、排ガス、騒音、振動、悪臭、排水対策は現施設と同様に法令基準値より厳しく設定する。
残る5方式は①ストーカ式焼却炉②流動床式焼却炉③メタンコンバインドシステム(メタンガス化+焼却)④シャフト式ガス化溶融・改質⑤流動床式ガス化溶融・改質。近年の災害激甚化や頻発化を踏まえるとともに、脱炭素化と資源循環強化面で総合的に評価。
市が特に重視する評価項目は資源物の回収、エネルギー回収量、二酸化炭素排出量、最終処分量、災害対応・災害拠点施設への活用。これら以外は採用実績、ごみ量やごみ質変動への対応、運転維持管理性、環境学習の場への活用、経済性。ごみ発電は必須項目。
ごみ焼却施設から発生するエネルギーは施設内で利用するほか、周辺施設へ供給。余剰電力は市が出資する地域新電力会社「宇都宮ライトパワー」へ全量を売電し、地域内で循環利用。焼却ごみに含まれるプラスチック製品は分別収集の上、再商品化を検討する。