県塩谷南那須農業振興事務所は、市の堀用水(さくら市押上~松山新田)の改修工事に着手する。今年度は5件の工事を予定しており、草川分水工に新設するゲート製作据付工と下部工を早ければ今月にも公告・指名通知するほか、水路工3件を9月にも公告・指名する方針。今年度事業費は2億9945万円。市の堀用水は老朽化が著しい最上流部約6424mのうち開水路区間約6100mをブロック積み水路に改修する計画。水利施設整備事業で期間は2023~29年度、総事業費は約29億円。
ゲート設備を新設する草川分水工は、東北自動車道西側の事業区間最上流部に位置。市の堀用水と草川用水をコンクリート構造物で隔てる形で分水しており、角落し式ゲートを鋼製の電動式に更新する。
ゲートの規格は幅5・2m×高さ1・4m、幅4・3m×高さ1・4mを予定。ゲート設備製作据付工は条件付き一般競争、ゲート下部工は指名競争で入札。年度内に工事を完了させる予定。
水路工に着手するのは事業区間最下流部で、さくらロード(市道)付近の松山新田地区。断面計画は下幅5m、高さ1・5mの3面張りブロック積み水路。延長約150mの工事を指名競争、約250mと350mの工事を一般競争で発注することを検討している。実施設計は宇都宮測量。
市の堀用水は鬼怒川佐貫頭首工(塩谷町)を水源に県北東部を流れる延長約40㎞の農業用幹線水路。事業区間は1941~45年に玉石積みの護岸や取水堰の改修が行われた。現況は下幅約5m、天端幅約10m。
築造から約80年が経過し、護岸の玉石の多くが流失。法面崩壊による土砂の堆積で通水阻害も発生している。また、堰は角落とし式で取水調整が困難。農業用水の安定供給と省力化を図る必要があるため事業に着手した。
計画では水路改修と併せて13カ所の分水堰を10カ所に統合し改修。統合対象の堰はJR東北本線や国道4号、主要地方道大田原氏家線近くの6カ所。それぞれ近接している2カ所の堰を統合する。新たな分水堰は中央部にゲートが設置され両側に越流するタイプへの更新を予定している。
また、水路改修区間外となる国道293号の上流部でゲート設備4カ所を更新。小水力発電施設を国立きぬ川学院の北側に設置する。発電設備はらせん水車型発電機(46kw)を予定している。
市の堀用水は塩谷町、さくら市、高根沢町、芳賀町、市貝町、真岡市の約2500haが受益地。草川分水工や高根沢町の文挾放水路などで監視カメラや水位計の設置を計画している。